加賀市、観光地移動に次世代システム 自動運転視野にモネと実験へ

2019/7/13 6:45
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石川県加賀市はソフトバンクトヨタ自動車が出資するモネ・テクノロジーズ(東京・港)と連携し、自動運転を見据えた新たな交通システムを整備する。乗合タクシーの運行データを蓄積し、拠点駅や観光地を効率的につなぐ車両を2020年度から実証運行する。人口減少で公共交通の維持が難しくなる中、4年後の北陸新幹線の延伸開業を見越し二次交通を充実させる。

協定締結後に握手する加賀市の宮元市長(右)とモネ・テクノロジーズの柴尾副社長(12日、石川県加賀市)

12日、加賀市の宮元陸市長とモネ・テクノロジーズの柴尾嘉秀副社長が次世代移動サービスの推進に関する連携協定を締結した。複数の移動手段をITでつないでスムーズに使えるようにする「MaaS(マース)」を視野に、観光地の移動手段の効率化をめざす。

加賀市は山代、山中、片山津といった北陸有数の温泉地を持つ。23年に北陸新幹線の敦賀延伸で加賀温泉駅が新幹線の停車駅となり、首都圏からインバウンド(訪日外国人)を含む観光客の増加が期待されている。

一方で高齢化と人口減少が進み、バス・タクシーの運転手など公共交通の担い手が減少。旅館などの宿泊施設も深刻な人手不足に直面し、宿泊客を駅などに送迎するシャトルバスの維持が難しくなる懸念もある。

加賀市は加賀温泉駅を拠点に観光地を周遊する二次交通手段の維持に向けて、将来の自動運転普及を見据えた移動システムの確立をめざす。まず来年度から、観光客の需要に基づいて観光地を移動する有人の乗合タクシーの運行を始める。スマートフォンで予約して低料金で移動できるサービスを想定する。

観光客の移動データを積み上げることで運行を効率化。中長期的に新幹線との乗り継ぎや決済もスムーズに行える仕組みも構築する考えだ。

市民の足としての公共交通の効率化もめざす。市が15年から運行している市民向けの乗合タクシー4台に通信機を取り付け、人の移動や時間などのデータを可視化。渋滞や事故の起こりやすい場所を分析することで都市計画に生かし、自動運転の実用化に備える。

締結式に臨んだ宮元市長は「自治体として10年20年先を見越して取り組みを加速していく」と意欲を示した。柴尾副社長は「観光地で誰もが自由に移動できるサービスの実現に向けて、全国で仲間を増やしていきたい」と述べた。

加賀市はITを核にした街づくりを強力に進めており、全国でも先駆的な施策を相次ぎ打ち出している。大阪市のIT企業、スマートバリューと連携し、ブロックチェーンの認証技術を使った電子行政を推進。マイナンバーによる行政手続きの電子化に着手する。

5月にはANAホールディングスと組み、遠隔操作でコミュニケーションするアバター(分身)技術を教育や観光振興に生かすことにした。VR(仮想現実)やロボットといった先進技術の集積を通じ、若者の雇用確保による定住促進をめざしている。

(小野嘉伸)

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