2019年8月24日(土)

和洋折衷 12通りの装身具に(古今東西万博考)
1937年・パリ ミキモトの帯留め

関西タイムライン
コラム(地域)
2019/7/16 7:00
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真珠宝飾品の世界的老舗として知られるミキモト。そのブランド力は1937年開催の仏パリ万国博覧会で花開いた。球体の真珠を直線上に、四角くかたどったダイヤモンドやサファイアなどを隙間無く並べた帯留め「矢車」を会場で展示。当時流行していた直線的なデザイン「アールデコ」を取り入れた和洋折衷の美しさはファッションの本場で高く評価された。

1937年に流行した直線的なデザインを球体の真珠で表現した

1937年に流行した直線的なデザインを球体の真珠で表現した

最初は帯留めだが、ドライバーでねじをゆるめると中央の円形や左右の四角など小さい部品に分解できる。部品を組み合わせることで、指輪やかんざしなど12通りのアクセサリーに変化する。さらに仏「ショーメ」など欧州の高級宝飾品店が得意とする石と石の間の金具を見せない「カリブルカット」と呼ぶ技術も取り入れた。高い技術と機能は来場客から注目を集めた。

和装が中心だった日本では装飾品といえば髪飾りか帯留めが一般的だった。だが当時の万博の目録を読むと「養殖真珠のネックレスで知られるミキモトが発表したのは、光り輝く宝石を美しく並べた中に真珠をあしらったブローチだ」と海外で受け入れられた。

ミキモトがパリ万博に出展した理由について、ミキモト真珠島(三重県鳥羽市)にある真珠博物館の松月清郎館長は「ふぞろいな天然真珠が主流だった欧州で均整のとれた養殖真珠をアピールする狙いがあったのでは」と話す。

矢車は万博後に販売され、行方不明となった。89年に米国のオークションでミキモトが買い戻し、約50年ぶりに日本に戻った。優れたデザインと技術は日本の近代ジュエリー史に名を残し、2018年には現代風にアレンジした進化版が発売された。(川崎なつ美)

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