2019年8月23日(金)

インド発の革新、日本VCも支え

アジアBiz
2019/7/15 0:00
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インドのスタートアップ企業が世界のマネーを吸い寄せている。バイオ、人工知能(AI)分野などで1年に1000社を超す起業があり、米国や中国に次ぐ成長のパワーがあるからだ。日本のベンチャーキャピタル(VC)も相次いで投資し、インド発のイノベーションを後押しし始めた。

新興バイオ企業、バグワークスのオフィスは「インドのシリコンバレー」といわれる南部バンガロールにある。アナンド・アナンドクマール最高経営責任者(CEO)は、抗生物質が効かない「多剤耐性菌」の薬を開発中だ。菌がどうやって薬をはき出し、効き目を弱めているのか――。

「日本の知見が生きている」。アナンドクマールCEOは、東京大学エッジキャピタル(東京・文京)が2018年、他社と合わせ10億円出資したことで研究が進んだと話す。UTECを通じて、この分野に詳しい東京工業大学の村上聡教授を顧問に迎えた。

東京大学エッジキャピタルは19年2月、現地のVC、ブルーム・ベンチャーズが組成した約100億円のファンドに出資した。インドでの投資を広げる。

インド全国ソフトウエア・サービス企業協会によると現在7千社を超すスタートアップがあり、18年は1200社生まれた。

米調査会社によると、スタートアップによる18年の資金調達額を87億ドル(約9400億円)と試算した。5年で5.6倍伸び、21倍の中国に次いでアジア2位。2.6倍の日本を上回る。

日本のVCによる実績も出始めた。16年に進出したドリームインキュベータ。17年末に投資した健康管理アプリ会社、ヘルシファイミーの登録者数が1000万人を突破し、中東や東南アジアの開拓も始めた。食事や運動の記録をAIで分析し、専門コーチが個人に合った健康法を助言する。

個人向け保険売買仲介サービスのフィンテック・ブルー・ソリューションズも、成長株という。複数の保険会社の商品から、その人に最適な保障内容と価格を提案する。

現地にキャピタリストを置いて19社に投資してきたが、手を広げすぎることには慎重だ。ドリームインキュベータインドの江藤宗彦社長は「フィンテックとヘルステックに重点を絞る」と話す。

投資熱はVCから大企業へ移っている。みずほ銀行やスズキなど大手企業は今年秋、150億円規模のインド向けファンドをつくる計画だ。

ただ、資金に困らない環境が広がっている。日本勢が選ばれるには「日本企業との協力や日本市場の開拓にプラスかどうかが重要だ」と現地IT企業の幹部は話す。相乗効果のかたちで投資のリターンを生み出せるか、資金の出し手の知恵が必要になる。(駿河翼、鈴木健二朗)

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