2019年8月18日(日)

恵庭のえびすかぼちゃ、すっきり糸引く甘さ
北海道・食の王国

2019/7/12 11:30
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京料理などで広く使われ、関西で高い人気を誇る「えびすかぼちゃ」を札幌市のベッドタウン、恵庭市が特産品として売り出している。1960年代にいち早く栽培に乗り出し、栽培のしやすさもあって全道に普及した。商工会議所が中心となり「発祥の地」としてアピールしてきたことで、かぼちゃの町としての認知度も上がってきた。

えびすかぼちゃというと聞き慣れないが、かぼちゃの品種としては国内で一般的な品種だ。日本国内で広く作付けされている。甘みが強く、最も一般的な栗かぼちゃよりも水分が多く、粘質が高い。ホクホク感では劣るが、糖度が高く煮崩れもしにくいのが特徴だ。

えびすかぼちゃは、恵庭市が道内の栽培発祥の地としてPRに努めてきた。旗振り役は恵庭商工会議所。かぼちゃといっても煮物や天ぷらばかりでは芸がない。独特の甘みを生かしてペースト状にして市内の食品メーカーに提供。スイーツとして商品化してきた。

商議所は「恵みの庭のかぼちゃプリン」や「恵みの庭のカボチャパイ」をはじめ、10種類の商品を発売してきた。かぼちゃプリンはドロッとした食感の土台に濃厚なカラメルソースが乗り、すっきりした甘さが後を引く。カボチャパイは北海道のパティシエと組んで商品化した自信作だ。

えびすかぼちゃは西洋かぼちゃと日本かぼちゃを交配させて、タキイ種苗(京都市)が開発した。環境への適応度が高いのに目をつけ、いち早く栽培に乗り出したのが恵庭市だった。恵庭で収穫されたえびすかぼちゃは本州へと出荷され、関西地方を中心に評判を集めた。他の品種より栽培しやすい利点もあり、同種の栽培は北海道全土に広がっていったという。

恵庭商工会議所は2009年から国の「地域資源∞プロジェクト」の補助金を活用して、えびすかぼちゃを使った恵庭ブランドの確立に努めてきた。札幌市近郊ながら全国的な知名度に欠ける恵庭市をPRするため、道内栽培発祥の地としての歴史を武器に、えびすかぼちゃを特産品として売り出した。

商議所の活動は実を結び、これといった特産品のなかった恵庭市民にとって、えびすかぼちゃは同市を代表する特産品という意識が根付いてきた。商議所の新田晃士さんは「最近は商談会で恵庭を説明するときに、かぼちゃが特産品だと言いやすくなった」と話す。

商議所と並び、恵庭観光協会もPR活動をけん引してきた。かぼちゃフレークを製造し、フレークを使用したクッキーなどを道の駅「花ロードえにわ」などで販売。道の駅にはかつて、えびすかぼちゃを使った加工食品がずらりと並んでいた。

ただ近年、えびすかぼちゃを使ったPR作戦は転機を迎えている。現在は道の駅の運営を民間事業者が担っており、観光協会が一手に担ってきたフレークの製造も中止。かぼちゃを使った製品はカボチャパイなど数品が残されており、プリンやパイは市内の商議所やJR駅の売店でも購入できる。ただ全盛期から見れば、かぼちゃを使った商品の規模は縮小した。

道の駅は2020年のリニューアルオープンが決まり、道の駅の神圭祐マネージャーは「人気の商品でもあり、引き続き販売を続けていきたい」と意欲を見せる。道の駅は地域の特産品をアピールする絶好の場所。かぼちゃの町の再出発に注目が集まっている。

(荒川信一)

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