山形・金山町を落花生の産地に 山形大など地域巻き込み
地方創生 気になる現場

2019/7/11 18:48
保存
共有
印刷
その他

山形県金山町を落花生の産地にするプロジェクトが始まった。ここ数年、同町や山形大学東北創生研究所が栽培実験を続けてきたが、新庄信用金庫(新庄市)が日本財団から1000万円の助成金を獲得。収穫用の機械を購入するなど事業化へ動き出す。地域の若手人材にも参加してもらい、新たな産業作りにつなげる狙いだ。

山形県金山町で始まった落花生の栽培(昨年の試験栽培の収穫風景)

「行政の補助事業はお金が切れたら終わり。持続可能な新たなモデルを作りたい」。落花生プロジェクトの仕掛け人のひとり、山形大東北創生研究所長の村松真准教授は「よくある補助事業とは違う」と強調する。

山形大や金山町、地元農家の有志は数年前から落花生の栽培を試験的に開始。豆菓子メーカーのでん六(山形市)も加わり、国産落花生の活用を検討してきた。そこへ今年6月、新庄信金が応募していた日本財団の「わがまち基金」の助成金交付が決定し、国産落花生新産地プラットフォーム構築事業が動き始めた。

財団の助成金も行政の補助のようだが、最初のきっかけとなるシードマネーという位置づけ。機械の購入代金などにあてるが、その後の商品開発や販路開拓などは関係者で地域商社を作るなど、民間主導で持続可能なモデルを追求する。

落花生は中国など輸入品が大半を占める。千葉県が圧倒的なシェアを持つ国内産は供給量が少なく、国産落花生を求める食品メーカーの需要は強いという。金山町は県内有数の豪雪地帯だが、栽培方法を工夫することで「一大産地になる」(村松准教授)と判断。2019年度から若手農家など10の農業者が約2ヘクタールでの栽培を始めた。

同じ面積で比較すると農業者の手元に残る利益は、落花生はコメの2~3倍になるとの試算もある。コメ依存からの脱却に加え、加工や商品開発も地元で手掛けることで付加価値を高める。新庄信金の井上洋一郎理事長は「地域金融機関が一からかかわり、新産業を作り出す」と意気込む。

ただ実際に誰が事業を担うかが大きな課題。金山町がある最上地域では県の出先機関が学生など若手を集めた人材育成事業「ジモト大学」を始めている。新庄信金では職員も加わる形で地域課題の解決に携わる人材「ジモト・ソーシャル・イノベーター」を養成。アイデアを取り入れながら実現につなげる考えだ。

最上地域は県内でも若者の人口流出が著しい。落花生の産業化に若手人材が参画できる仕組みがあれば、地元に残る選択肢も増える。金山町職員時代に町おこしにも関わった村松准教授は「補助金頼みでなく、信金の経営の視点で事業化につなげたい」と期待。井上理事長は「法律で営業エリアが限定された信金は地域と運命共同体。資金ニーズを作るためにも自ら動くしかない」としている。

(山形支局長 浅山章)

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]