2019年8月26日(月)

日韓、輸出管理で対立鮮明に 戦略物資巡り

日韓対立
2019/7/12 1:31
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半導体材料など戦略物資の輸出管理を巡り、日韓の対立が鮮明になっている。韓国は違法輸出が156件に上ったと公表し、これに日本が輸出規制を強化したフッ化水素が含まれた。日本側は管理の不備を指摘するが、韓国側は日本では無許可輸出の摘発件数さえ公表していないと反発し、日韓関係が一段と冷え込んでいる。

韓国の産業通商資源省は2015年から19年3月までに戦略物資の東南アジアや中国、中東諸国などへの違法輸出が156件あったと明らかにした。摘発件数は15年の14件から16年に22件、文在寅(ムン・ジェイン)政権が発足した17年は48件とほぼ倍増した。

摘発事例には半導体の製造工程で使われるフッ化水素酸も含まれた。17年12月にベトナム、19年1月にアラブ首長国連邦(UAE)へ不正輸出されていた。フッ化水素は核兵器の製造や猛毒サリンなどの化学兵器の合成材料にも使われる。日本政府が韓国への輸出規制を厳しくした対象品目だ。

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日本のフッ化水素の対韓輸出は18年に前年比で約3割増えた。日本政府は韓国への輸出規制を厳しくした理由として、信頼関係が著しく損なわれたことや、韓国向け輸出で「不適切な事案」があったことをあげている。

韓国政府が違法輸出案件を公表したことについては、「摘発したから十分とは言えないのではないか」(日本政府関係者)とし、不正を防ぐための審査体制などに疑問を投げかける。

韓国側は「一部の国内企業が許可なく輸出したものを摘発した事例で、日本産のフッ化水素ではない」と説明する。サリンに転用されるのは低純度のフッ化水素で、「日本から輸入している高純度のフッ化水素が転用されることはありえない」と主張する。

さらに韓国側は「16年から警察や海洋警察などで戦略物資の捜査の専門人材を養成し、(摘発の増加は)取り締まりを大幅に強化した結果だ」と主張。輸出管理の緩みとの指摘は当たらないと強調する。

日本は自国の不正輸出防止に力を入れているとする。政府は軍事転用が可能な品目を輸出する際に審査・許可を求める「リスト規制」を導入。4日から韓国向けで個別許可が必要になった半導体材料などの3品目はこのリストに該当する。標準で90日程度の審査期間をかけて、不適切な事案がないか調べる。

外部からの情報提供や経済産業省の調査などでルールに反した無許可輸出などが発覚した場合には罰則があり、懲役や罰金を科す。輸出管理に絡む具体的な違法案件は、悪質性の高い案件に限って個別に公表する。

日韓とも輸出管理体制は整っているとの立場だ。ただ韓国側は「摘発実績などは米国も公開しているが日本は摘発件数すら公開していない」と指摘。「韓国のほうが透明だ」と反論する。

日韓政府の輸出管理担当者は12日、経産省内で事務レベルの会合を開く。日本が韓国向け輸出規制を厳格化して以降、初の会合となる。世耕弘成経産相は2国間協議や規制の撤回を拒否する姿勢で、経産省は12日の会合も「事務的な説明の場で、協議ではない」と強調する。日韓の意見対立は深く、問題解決に向けた糸口は見えない状況だ。

(ソウル=鈴木壮太郎、杉原淳一)

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