2019年7月21日(日)

英与党党首選 優勢ジョンソン氏、「資質」に賛否

英EU離脱
ヨーロッパ
2019/7/11 17:29
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【ロンドン=中島裕介】英国の次期首相を選ぶ与党・保守党の党首選で、10月末に欧州連合(EU)を離脱すると訴えるジョンソン前外相が有利に戦いを進めている。独特の風貌やユーモアある言動が人気を集めるが、失言やスキャンダルも多く、首相としての資質を疑問視する声も強い。

ボリス・ジョンソン元外相

「何があってもEUとよい合意はできる。11月には飛行機は離陸するのだ」。6日、英西部ウェールズの演説会で、ジョンソン氏は熱弁を振るった。「財政規律? 良い質問だ。今後の演説会で必ず答えよう」。減税の財源を問う厳しい質問をジョークでかわしても、会場は爆笑に包まれる。

ボサボサの金髪頭に小太りの風貌、オックスフォード大卒のエリートなのに庶民的な言動――。ブレア氏やキャメロン氏ら歴代首相のスマートな印象とはかなり異なる。

それでもジョンソン氏への期待は強い。23日の決選投票の結果発表を控えた英調査会社ユーガブの1~5日の調査では、ジョンソン氏の支持が74%。対抗馬ハント外相の26%を大きく上回った。

ジョンソン氏は英新聞社を経て政治家に転身。2008年と12年に最大野党・労働党が強いロンドンで市長選を2回勝ち抜き、存在感を高めた。低迷する保守党の「選挙の顔」への期待は高まるが、首相としての資質には疑問の声が強い。その一つは失言が多い点だ。

16年4月、英のEU残留を訴えた当時のオバマ米大統領を「彼の視点は祖先のケニア人の血筋によってゆがめられている」と評した。ベールをかぶるイスラム教徒の女性を「郵便ポストか銀行強盗にしか見えない」と形容したこともあった。

国民投票の離脱キャンペーンでは「英国は毎週EUに3億5千万ポンド(約470億円)送っている。これを国民医療制度(NHS)に還流しよう」とバス広告で宣伝した。しかしこれはEUから英への戻し入れを考慮していない金額だった。

ダロック駐米英大使がトランプ米大統領を批判した公電が漏れて辞任した件で、ジョンソン氏は「留任すべきだ」と明言しなかった。親交があるトランプ氏に配慮して身内を守らなかったとの批判も強い。トランプ氏との近さを売りにしていたが、逆に対米関係のかじ取りは難しくなった。

不祥事や女性スキャンダルも多い。ジャーナリスト時代に識者発言をでっち上げて解雇されたほか、不倫疑惑で党役職を解任された過去もある。

ジャーナリスト時代の同僚ソニア・パーネル氏は著作でジョンソン氏を「日和見主義」「政治的な見解をころころ変える」と描いた。「合意なき離脱」に進むのか、とどまるのかは見通せない。

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