世界の金ETF残高、6年ぶり高水準に WGC調べ 6月
金の国際調査機関ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)は9日、世界の金上場投資信託(ETF)が保有する金の残高が6年ぶりの高水準に達したと発表した。米利下げ観測や中東リスクの高まりで金価格は6年ぶりの高値圏にあり、6月1カ月間のETFの資産残高の増加額は7年ぶりの高水準だった。

WGCが金価格に連動するよう設計されたETFの売買動向をまとめた。世界のETFが価値の裏付けとして保有する現物残高は6月末時点で2548トン。前月末比で127トン増え、2013年3月末以来の高水準だった。
金価格の上昇を背景にETF全体の運用資産残高も前月から154億ドル(15%)増え1154億ドルになった。1カ月間の増加額としては7年ぶりの高い水準になった。
金ETFは先物に比べ、年金基金など長期マネーの比率が多いとされる。投資家がETF買いに動いた背景にあるのが金価格の急騰だ。6月中旬にはホルムズ海峡沖でタンカー船が襲撃され、中東の地政学リスクが急速に高まった。
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げの可能性を示唆。金利のつかない金の相対的な価値が高まると見込んだ買いで国際指標のニューヨーク先物は6月末に1418ドルと6年ぶりの高値をつけた。