中国で有名百貨店相次ぎ経営難 押し寄せるネットの波

2019/7/10 20:47
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中国・北京の中心部に立地する有名百貨店が相次ぎ経営難に陥っている。日系として27年前に開店した百貨店が閉店セールを行ったほか、1953年に開業し、中国の株式会社第1号となった百貨店が競売にかけられた。中国のアリババ集団をはじめとするインターネット通販が定着し、百貨店の生き残りは一層厳しくなっている。

閉店セールを行う賽特購物中心(6月、北京)

「1992年から今までありがとう」。北京市の老舗百貨店「賽特購物中心」は6月まで閉店セールを実施した。賽特はヤオハン(97年に経営破綻)が92年、中国企業と提携して開業し、94年のヤオハン撤退後も日本人客らでにぎわった。

当時は中国で入手が難しかった海外ブランド品の品ぞろえで人気を集めた。しかし、競合店も取り扱うようになると、客足は遠のく。近年は中国流通大手の王府井集団が運営を請け負ってきたが、客足は回復せず経営権を手放した。今後は不動産大手と組み、営業継続するという。

中国の裁判所は6月、53年開業の天橋百貨商場を競売にかけた。84年に中国の株式会社第1号となったが、経営不振のため債権者が資金回収に転じた。約70億円という値段に買い手がつかず、売買は成立していない。

押し寄せるネットの波に百貨店は対抗できるのか。98年に北京1号店を開業したイトーヨーカ堂の幹部は「商品を売るだけの店舗ではネットに勝てない。お客様が楽しんだり、コミュニケーションをとったりする場所になることが必要になった」と話す。

ヨーカ堂の北京の事業は苦戦が続いてきた。ピーク時には9店舗まで拡大したが、2017年に1店舗に縮小した。来店客数は1日5千~6千人に落ち込み、40~50代が全体の60%を占めた。

ヨーカ堂は18年、来店客数を増やす作戦に乗り出した。人気タピオカ店やスポーツジムなどをテナントとして迎え入れ、無料で座れるソファやイスを店内に480席用意した。ヨーカ堂の販売面積は4割減ったが、来店客数は2倍に増えた。来店客の年齢は20~30代が65%を占め、以前より若返った。スーパーなど自社のレジ通過人数も1割増えた。

復活の光が見えるものの、課題は残る。毎日、店舗前の歩道を歩く2万人のうち、約半分は店舗に立ち寄らないという。ヨーカ堂幹部は「客に来てもらえる取り組みを導入しなければ」と話す。ネットの隆盛と小売りの衰退は世界で共通する課題だが、百貨店は難局を打開できるか。ヨーカ堂の北京の試みが試金石になりそうだ。(北京=多部田俊輔)

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