IoTデータの不当な囲い込み、異業種連携も独禁法適用 公取委

2019/7/11 2:00
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公正取引委員会は10日、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」分野などでの異業種連携によってデータの不当な囲い込みがあれば、独占禁止法上で問題になるとした報告書を公表した。高速で大容量のデータ通信が可能な次世代通信規格「5G」の実用化でデータの独占が強まると懸念される。新技術による成長と弊害防止の両立を図るため監視を強める。

公正取引委員会

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政府はデジタル経済が進むなかで、公正な競争、デジタル課税、個人情報保護という3つの政策的な観点から規制を検討している。

日本で5Gは2020年に始動する。高速で大容量のデータを通信できる情報基盤が産業のあり方を大きく変える可能性を秘める。一方、成長や技術革新を促すだけでなく、データのさらなる寡占をうみかねない。

公取委の研究機関、競争政策研究センターは10日に公表した報告書で、データビジネスの異業種連携について独禁法の考え方を整理した。報告書は連携の法的な留意点を明記し、公正な競争下で健全な成長と技術革新を促す狙いだ。

報告書は異業種の企業がデータを持ち寄る業務提携は短時間で大量のデータを集められる点に着目して「独占や寡占が維持されやすい」との基本的な認識を示した。独禁法上で問題になり得る事例も整理した。

例えば、先端技術を使って街全体の省電力化を図るスマートシティーや自動走行システムの開発などでの連携。データへのアクセスを制限したり、企業間で将来のサービスや価格の情報まで共有したりする行為などは独禁法上の問題になる可能性があると指摘した。

小売店の共通ポイントサービスの連携では、顧客のデータを不当な手段で集めたり、店舗で独自に取得・保有するPOSデータの提供・開示を義務付けたりすれば、問題になり得るとした。

データを外販できるデータ取引所の構築・運営では、提携に参加していない企業のデータ利用を差別的に排除するなどの行為は問題になり得るとした。

報告書はデータ連携のための規格統一や共同分析はただちに問題にならないとも明記した。ただ、どんなデータビジネスの連携が独禁法上の問題となるかは解釈次第という面も残る。企業は独禁法の運用を予想するのに報告書を参照するだけでなく、当局との意思疎通も不可欠になりそうだ。

米国のグーグルやアマゾン・ドット・コムなど「GAFA」と呼ばれる巨大IT企業が異業種を取り込んで、事業を急拡大させている。デジタル分野では、IT企業がビッグデータを蓄積することで消費者に便利なサービスを提供してきた。

一方、圧倒的な市場支配力で取引先に圧力をかけたり、新たなライバルの参入を阻んだりする負の側面も指摘されている。

データビジネスでの異業種連携は日本企業でも盛んになっている。GAFAだけでなく、日本勢も不当にデータを囲い込んでいないか公取委に監視されることになる。

政府は健全な競争を維持するため、巨大IT企業への監視を強めている。ネット通販モールに出店する中小企業は、取引条件を一方的に変更されることで不当な不利益を受けているとも懸念される。20年にも取引条件の開示を義務付ける新法を提出することをめざす。

独禁法の運用を見直すことで、取引の実態を定期的に調査して悪質なら行政処分も検討する。

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