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かんぽ生命、ノルマ偏重を見直しへ 植平社長が謝罪

かんぽ生命保険と日本郵便は10日、不適切な保険販売が相次いで発覚した問題を受けて、改善策を発表した。郵便局員への過剰なノルマが不正につながったとみて、新契約をとった販売員に対する評価体系や目標設定を見直す。二重に徴収していた保険料の返還も進める。だが顧客に不利益が生じた契約は少なくとも約10万件に上る。高齢者を中心に支持されてきた「郵便ブランド」の信頼回復に向けた道のりは険しい。

「多数のお客さまに不利益を生じさせ、信頼を損ねた点について深くおわび申し上げる」。10日、東京都内で開いた会見でかんぽ生命の植平光彦社長と日本郵便の横山邦男社長は頭を下げた。

6月の問題発覚以降、かんぽ生命は一貫して「不適切な販売にはあたらない」と説明してきたが、10日は一転して「不適切な販売」だったと認めた。顧客の不安や反発の広がりなどを受けて謝罪を迫られた。今後の調査で販売職員の法令違反などが判明すれば「厳正に対処する」とした。

当面の改善策として顧客に契約の乗り換えを勧めないことや、営業ノルマ・手当の見直し、保険販売時に顧客の意向を確認するシステムの強化などを打ち出した。20年以降には顧客が契約を乗り換える際に健康状態によって新契約が結べず「無保険状態」になることを防ぐ制度も導入する。

乗り換えた後に保険料が上がるなどの不利益を受けたすべての契約を対象に、顧客の意向を踏まえて旧契約に戻すといった対策や二重に受け取っていた保険料の返還も進める。かんぽ生命に専門部署を立ち上げるなど「全社体制で真摯に対応する」(植平社長)。

かんぽ生命では6月、乗り換える際の無保険状態のほか、新契約を締結後に契約前の病気を理由に保険金が出ないなどの事例が約2万4千件あったことが発覚した。

さらに7月8日には顧客と新たな契約を結んだ際に古い契約を解約せず、保険料を二重に受け取っていた事例も約2万2千件見つかった。

販売職員が新規の契約を獲得した際に受け取れる手当を増やすため、故意に旧契約を引き延ばした疑いも出ている。日本郵便の横山社長は不正の原因について、超低金利など販売環境が変化しているにもかかわらず「営業推進体制が旧態依然のままだった」と述べた。

不適切な契約の合計はすでに約10万件に達しているが、いまだ全容は明らかになっていない。両社は早期に第三者委員会を設置し、社内の調査結果について年内に経過を報告するとした。今後問題のある契約の件数がさらに膨らむ可能性もある。

金融庁はかんぽ生命の不適切な販売手法を問題視している。2017年に「顧客本位の業務運営に関する原則」を公表し、金融機関に対し顧客が真に必要とする商品やサービスを提供するよう求めてきたからだ。

かんぽ生命もこれを踏まえて同年に基本方針を策定し、顧客の意向にもとづく適切な商品提案を実施することなどを盛り込んでいた。今回の問題はこうした方針に反しており、植平社長は「顧客本位を徹底できていなかった」と認めた。

保険業法では販売時に虚偽の内容を伝えたり、不利益となる事実を告げずに乗り換えを勧めたりする行為を禁止している。金融庁はかんぽ生命や郵便局の募集人の行為が保険業法に抵触しないかも慎重に判断し、業務改善命令など行政処分の是非を含めて改善策を求める構えだ。

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