2019年9月17日(火)

沖縄サンゴを壁材に 沖坤、台湾・中国を開拓

2019/7/14 18:00
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コンクリート二次製品メーカーの沖坤(おきこん、沖縄県名護市)は海のサンゴを使った塗り壁材を製造している。沖縄の波で削られ、長い時間をかけて小さくなった破片を生かす。湿気や臭いを吸着するなど、健康と環境の面で利点があると訴える。目指すのは台湾・中国での普及だ。

台湾で開催された国際商談会では琉海美粉の施工を実演(高雄市)

台湾で開催された国際商談会では琉海美粉の施工を実演(高雄市)

沖坤本社の応接スペースに、沖縄を中心とする東アジアの地図がある。「アジア市場には勢いがある」。宮城勝社長は地図を背に輸出拡大の狙いを語った。

塗り壁の材料になるのは海底にたまった風化造礁サンゴ。主に住宅の内壁に使われ、工事現場でサンゴと消石灰を主原料とする粉末に水を加えて使う。公共工事用のコンクリート二次製品は需要が減るとみて、2004年に「琉球の塗壁(ぬりかべ)」を開発した。

風化造礁サンゴは微細な穴をたくさん持った多孔質で、湿気や臭いを吸い取ってくれる。湿度の調整や消臭、カビを防ぐ。試験機関の分析で、シックハウス症候群の原因物質であるホルムアルデヒドを吸収・分解する効果を確認した。

目下、台湾の需要の掘り起こしに取り組んでいる。環境に優しい「グリーン建材」の認定制度があり、公共建築などで一定の利用が義務付けられている。「制度に認定されると販売が加速する可能性がある」と宮城社長。配合を見直して湿度の調整機能を向上させるなど、基準のクリアに向けて検証を重ねている。

「アジア市場には勢いがある」と語る沖坤の宮城社長

「アジア市場には勢いがある」と語る沖坤の宮城社長

これまで苦労ばかりだった。宮城社長は千葉大学で設計を学び、建設大手を経て沖坤に転じた。いわば技術系だ。13年、輸出に取り組んだが、通関手続きのやり方が分からず断念した。

「輸出のノウハウや人脈がなければ海外進出は難しい」と痛感した。それ以降は、国際商談会に参加するかたちで海外の開拓を始めていった。

台湾や中国本土では、経済成長で富裕層や中間所得層が増え、健康や環境への関心が向上していた。自然素材を使う「琉球の塗壁」に注目が集まった。

沖縄はアジアに近く、日本ブランドとしての力が発揮できる。輸出用の商品は「琉海美粉」とし、沖縄の海とサンゴのイメージを強調した。

台湾、中国本土の企業と16年にそれぞれ販売代理店の契約を結んだ。現地では日本製の珪藻(けいそう)土も多く使われており、日本の素材になじみはある。琉海美粉の価格が安いわけではないが、沖縄産の「安全・安心」に付加価値があると訴え高級住宅などの開拓に取り組む。

2~3年後に、輸出を現在の年間20トンから240トンに引き上げ、売上高に占める塗り壁材の割合を2割近くに高めるのが目標だ。国内出荷は毎年40トン程度で推移している。これを上回る輸出を目指しており、一層の販路開拓が課題だ。

(那覇支局長 佐藤一之)

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