米中貿易協議が再開 閣僚が電話 関税扱いなど溝深く

トランプ政権
米中衝突
2019/7/10 17:43
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【ワシントン=鳳山太成、北京=原田逸策】米中両政府が5月から止まっていた貿易協議を再開した。6月29日の首脳会談を受けて仕切り直した形だが、発動済みの追加関税の扱いなどを巡る溝は深いままだ。トランプ米大統領が表明した中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の制裁緩和も詳細が依然として不透明だ。交渉は長期化する恐れがぬぐえない。

米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表(右)と中国の劉鶴副首相(左)が9日、電話協議した(5月、ワシントン)=ロイター

米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表(右)と中国の劉鶴副首相(左)が9日、電話協議した(5月、ワシントン)=ロイター

米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表、ムニューシン米財務長官と中国の劉鶴副首相、鍾山商務相が9日、電話で協議した。米政府高官は「貿易を巡る残された争点について解決するため交渉を続ける」と述べた。対面での協議の日程にもふれなかった。

6月末の大阪での首脳会談では、5月に決裂した閣僚級の貿易協議を再開することと、米国が中国製品3千億ドル(約33兆円)分への追加関税を当面見送ることで折り合った。電話協議は首脳会談を受けた動きだが、入り口から早期合意に向けた機運はとぼしい。

米国家経済会議(NEC)のクドロー委員長は9日、5月までの協議を振り返り「(90%まで進んだが)残り最後の10%が難しい」と指摘した。今後は「無期限だ。急がない」と予防線を張る。

中国は10月1日に建国70周年を迎える。「習近平(シー・ジンピン)国家主席が最重視する祝賀事業を前に米国も追加関税を発動しないだろう」と早くも交渉長期化をにらむ声が出ている。

協議の課題は山積みだ。トランプ政権は中国が5月に知的財産侵害や技術移転の強要、サイバー攻撃など構造問題すべてで合意内容を後退させたと主張しており、改めて話し合う必要がある。

中国がこだわるのは米国が2500億ドル分の中国製品に発動済みの追加関税の撤廃だ。商務省の高峰報道官は4日の記者会見で「もし米中が協議で合意に達するならば、発動済みの追加関税は必ず全て取り消さなければならない」と述べた。米国は合意後も一部の追加関税を残す意向とされ、溝は埋まっていない。

中国による米国産農産品の購入も火だねだ。トランプ氏は米中首脳会談後の記者会見で「中国はとてつもない量の農産品を買う。すぐに始まる」と誇ったが、実際には始まった形跡がない。香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(電子版)は9日に「首脳会談でトランプ氏は再三、習氏に農産品購入を迫ったが、習氏は言質を与えなかった」と報じた。

中国の官製メディアは5日に「米国がまたおかしな態度を取れば、農産品の購入もまたおかしなことになる」との論評を流し、農産品購入を交渉カードに米国をゆさぶる姿勢を鮮明にした。エネルギーの輸入拡大も含めて、これからの協議で詳細を詰めるようだ。

合意のハードルは5月の決裂前よりも上がっている。トランプ氏は首脳会談後に「合意は米国有利の内容にすべきだ」とけん制したが、中国はすぐに「交渉は相互尊重、対等、互恵の原則のもとで行われるべきだ」(商務省報道官)と反発した。来年の米大統領選後まで見据える中国と折り合うのは簡単ではない。

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