頑張りすぎは逆効果 自然にたまる「疲れない節約法」

節約を頑張りすぎて疲れてしまっては、長続きしません。自分に合った「疲れない節約法」を実践すれば、自然にお金がたまっていくはず。
自分の価値観を知って無理のない節約法を発見
「節約は重要ですが、それでストレスをためるのは逆効果。ストレス解消のために不必要な浪費に走りやすくなります」と語るのは、ファイナンシャルプランナーの飯村久美さん。必要なのは、努力しなくてもそれが当たり前の状態にできる「疲れない節約」だといえそう。
疲れない節約法を見つけるコツは、まず「自分の価値観を知ることです」。自分にとって大事なものに優先的にお金をかけることを意識すれば、優先順位の低い支出は無理なく減らせる。また、固定費の削減や、なんとなく月会費を支払っていたサービスの解約など、痛みを伴うことなくできて効果の大きな節約法もある。飯村さんが提案するやり方で、自分に合った方法を見つけてみて。
同じ「食費の節約」でも疲れない方法を選ぼう

10円でも安い特価品を狙うような節約法は、労力の割に効果が薄いことも多い。一方、「1日1000円まで」など予算を決める手法は、いくら残せるかなどゲーム性も楽しく続けやすいのでおすすめ。

自分に合った「疲れない節約術」の見つけ方

「一度、固定費を除いて1カ月に使えるお金をすべて現金で下ろしてみるのはおすすめ」。現金の重みを感じながら用途別にそれを振り分ける作業をしてみると、「自分が本当に譲れない支出と、それほど大事ではない支出が見えてきます」。

いつも決まった時間にコンビニに行き200円くらいの菓子を買うなど、「なんとなく習慣になっている支出があるなら、試しに短期間だけやめてみて。意外とそれをしなくても平気だと気づくこともあります」。もちろん、つらかったら無理は禁物。

減らし続けるのに意志が必要な変動費に対し、自動で引き落とされる固定費は、1度減らしてしまえば努力不要でずっと効果が続く。初心者はまず、ここから減らせないかと考えよう。
実践・効果抜群の疲れない節約法コレクション
疲れない節約法を探せといっても、何も思いつかない! という人も必見。ファイナンシャルプランナーの飯村久美さんのアドバイスを参考に、多くの人にとって効果が高そうな節約法を厳選したので、今すぐチェック。
水道・光熱費を減らす
一番考えやすい「照明をこまめに消す」は、マメでない人には面倒な割に節約効果は低い。料金プランや契約アンペアの変更なら手間なく年に数千円以上減らせる場合も。
実は照明が消費電力に占める比率はごくわずか。エアコンは運転開始時に特に電力を使うので、つけっ放しのほうが消費電力が少ないことも。いずれもこまめにオフしても、労力の割に効果は薄い。
【疲れない節約】エアコン室外機を日陰にする
真夏のエアコン代の節約に効果的なのは、室外機が熱くならないよう、よしずなどで日陰の状態を保つこと。運転効率がアップする。ただし、風通しが悪くなると逆効果なので注意。
最近は電力会社やガス会社を乗り換え可能。両方を同じ会社にまとめると、割引が受けられる場合も多い。情報サイトの「エネチェンジ」で自分にお得なプランを探してみよう。

水の使用量を減らそうとすると努力が必要だが、「根元から絞ってしまえばムリなく継続的に減らせます」(飯村さん)。例えばシャワーヘッドは、普通の半分近くに使用水量を減らせるタイプもある。
家庭の消費電力量で、エアコンに次いで大きいのが冷蔵庫。「10年近く前のモデルを買い替えたら、電気代が月8000円から3000円に減った例もあります」。収納容量も増えるので思い切って買い替えも。
服飾・美容費を減らす
油断するとどんどん増えてしまうのが服飾費。節約のためのセールが逆効果になることもある。予算管理という意味で、定額制ファッションレンタルは注目。
【疲れる節約】セールの底値を狙う
服をセールで買えば確かに割引率は大きいが、代わりに消費欲をあおられて「余計に買ってしまう」リスクもある。あまり着ない服まで買ってしまえば、クローゼットは散らかり、生活は乱れていく。
美容院代の負担が大きい人は少なくないが、無理に回数を減らすのはストレスがたまるかも。「美容院予約アプリのminimoでは、カットモデルを募集している店舗を探せます」。先着順ながら、カット無料など、劇的に安い料金で済む場合も。
定額料金で毎月新しい服をレンタルできるサービス。エアークローゼットは月6800円で3着ずつ。サスティナは月4900円で10着まで借りられ、毎月3着交換できる。「定番の服だけ所有し、流行の服はレンタルに絞れば、服飾費が予算を超えずに済みます」。
税金を減らす
「節税も立派な節約の一種です」。毎年1回の手続きで年間数万円の節約になる場合もあるので、使える制度は積極的に利用を。貯蓄の「預け先を変える」だけでも節税に。
ほぼ預金代わりに使える保険が「じぶんの積立」(明治安田生命)。満期前にいつ解約しても払込済み保険料が全額戻り、満期時点では少し増える。しかも生命保険料控除の対象になるので、所得税や住民税まで還付される。

通常の医療費控除は年間10万円を超えた分からだが、「セルフメディケーション税制」対象の市販薬ならば、年間1万2000円を超えた分から控除の対象。頭痛薬や花粉症薬などのレシートは保存を。
毎月の掛け金が所得控除の対象になる「iDeCo」。積立先は値動きのある投資信託だけでなく、元本保証の定期預金も選べる。60歳まで引き出せないが、老後のための貯蓄ならiDeCoで行うだけで節税に!

住居費を減らす
最大の固定費である住居費。「安い家に住み替える」のは誰にでもできることではないが、住宅ローンの借り換えで総返済額が安くなる可能性はあり!
住宅ローンの借り換えコンサルティングを手がけるMFSは、ネットで最も有利な借換先を提案、手続きを代行する「モゲチェック」を始めた。手数料が最低10万円、上限50万円(税別)からと安い上に手軽。

食費を減らす
食材をケチる、特価品に血眼になる、というのは典型的な「疲れる節約」。だが、疲れない食費節約法もある。特にネットスーパーによる予算管理は試す価値あり。
さまざまな返礼品が得られるふるさと納税。せっかくだからと豪華食材を選びがちだが、これを「米」にすれば、数万円の寄付(自己負担は2000円)で15kg以上の米が届く自治体も。

ネットスーパーは利用額によっては配送料がかかるが、常に合計額を見ながら商品を選べ、店頭の誘惑に負けることもないので、予算を決めて食費を抑えるには有効。
この人に聞きました

(文 日経WOMAN編集部)
[日経ウーマン 2019年4月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。