2019年7月17日(水)

はやぶさ2、降下開始 11日に小惑星へ再着陸

科学&新技術
2019/7/10 8:16 (2019/7/10 11:19更新)
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宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機「はやぶさ2」は10日午前、小惑星「りゅうぐう」への2度目の着陸に向け、降下を始めた。待機中の高度20キロメートルから徐々に高度を下げ、11日午前10時すぎの着陸を予定する。人工的につくったクレーター(くぼ地)の近くに降り、地中にあった砂などの採取を目指す。はやぶさ2の小惑星探査は最後の正念場を迎える。

はやぶさ2は4月、金属弾をりゅうぐうの地表に撃ち込み、人工クレーターをつくることに成功した。着陸の目標地点はクレーターから20メートルほど離れた半径3.5メートルの円内に決まった。5月末に落とした着陸時の目印となる装置のすぐ近くで、地中の物質も十分に採取できるとみて目標地点に選んだ。着陸の障害となるような大きな岩がない比較的平らな場所で、クレーターをつくったときの衝突で飛び散った地中の砂や岩石が厚さ1センチメートルほど積もっているとみられる。

はやぶさ2は太陽電池パネルを広げると幅が約6メートルになる。2月の1度目の着陸では地表の砂や石を回収し、機体内に保管できたとみられる。2度目の着陸で機体が岩などにぶつかって損傷すれば、最初の着陸の成果を地球に持ち帰れなくなる恐れがある。JAXAは研究者らと協力し、地表の立体的な地図を作って慎重に着陸場所を検討した。

はるか遠くの小惑星にいるはやぶさ2と地球との通信には往復で30分近くかかる。着陸の最終段階は自動運転に切り替わる。地球の管制室から指示を送ることは難しく、緊迫の時間が続く。

はやぶさ2は10日午前11時ごろ待機中の高度20キロから秒速40センチで降りていく。高度5キロからは秒速10センチに減速する。

11日午前10時ごろ、最初のヤマ場を迎える。高度30メートルから、あらかじめ5月末に落としておいた着陸の目印「ターゲットマーカ」を探す。光を反射する目印は「灯台」の役割を果たす。はやぶさ2は目印との位置関係から、2.6メートル離れた着陸目標地点を目指す。

目印を視野に捉えると、さらに高度8.5メートルまで接近。着陸用の姿勢に機体を傾けつつ、目印を視界の端に入れながら水平に移動し、ほぼ真下にある目標地点へと降りていく。着陸は早ければ午前10時18分ごろを予定するが、最大で40分ほど遅れる可能性があるという。

着陸時は筒状の装置を地表に押し付け、ほぼ同時に弾丸を発射。舞い上がった砂などを機体内のカプセルに回収し、すぐに上昇に転じる。12日には高度20キロの待機地点に戻る見通しだ。

はやぶさ2は1度目の着陸で舞い上がった砂ぼこりでカメラや高度計のレンズが曇り、精度が落ちた。チームは精度の低下を織り込み、目印を捉える高度を1度目の着陸より下げるなどの変更を加えた。

探査機はやぶさ2が小惑星りゅうぐうに2回目の着陸を目指す目標地点の様子(黄色の園内が目標地点。白点は着陸の目印になる装置を投下した地点。右下の暗くくぼんだ場所が人工クレーター)

探査機はやぶさ2が小惑星りゅうぐうに2回目の着陸を目指す目標地点の様子(黄色の園内が目標地点。白点は着陸の目印になる装置を投下した地点。右下の暗くくぼんだ場所が人工クレーター)

JAXAの久保田孝研究総主幹は9日の記者会見で「1回着陸に成功しているが、2度目ができるかはまだわからない。はやぶさ2にとって一番大きなヤマ場を迎える」と話した。「かなり時間をかけ、用意周到に準備した。果敢に挑戦したい」と力を込める。

小惑星の地中は太陽光や宇宙線による「風化」の影響を受けにくく、地表に比べて「新鮮な状態」にある。小惑星の地中の物質を採取できれば世界初の快挙だ。太陽系が誕生した46億年前の痕跡が残るとされ、太陽系の成り立ちなどに迫るための貴重な手がかりになると期待されている。

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