中国地方の信金・信組、半数が本業収益悪化

2019/7/10 9:00
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中国地方にある主要28の信用金庫・信用組合のうち、半数に当たる14の信金・信組で2019年3月期に本業のもうけを示すコア業務純益が前の期より悪化した。長引く低金利で貸出金利回りが低下したことが響いた。貸出金は7割で増えたものの、利ざやの縮小に苦戦する例が目立った。

広島市信用組合は17年連続でコア業務純益が増えた

広島市信用組合は17年連続でコア業務純益が増えた

商銀、朝銀、職域組合を除き、中国5県に本拠を置く21信金・7信組にアンケート調査を実施し、結果を集計した。

コア業務純益の悪化の背景には貸出金利回りの低下がある。28信金・信組の平均貸出金利回りは1.91%と、前の期(1.97%)に比べ0.06ポイント悪化した。2%を下回るのは2年連続だ。利息収入などで構成される資金利益は16信金・信組で減少した。

事業環境については「他の金融機関からの肩代わりを阻止するための金利引き下げは増えている」(広島県信用組合、広島市)、「地域外の地銀がターゲットを絞り、低金利での融資提案をしている」(日本海信用金庫、島根県浜田市)といった声が多く、依然として厳しい状況が続く。

コア業務純益が改善した14の信金・信組のうち、好調が続くのは広島市信用組合(広島市)。同組合の19年3月期のコア業務純益は前の期比5%増の94億円と、過去最高を更新した。増益は17年連続。

投資信託などの金融商品は扱わず、貸出業務に特化したビジネスモデルが特徴だ。山本明弘理事長は「職員が徹底して顧客を訪問することで、ミドルリスク層の資金需要にスピーディーに対応できる」ことが強みと話す。地域密着の特性を生かしたきめ細やかな営業を通じて、金利競争をどうこなせるかが今期も各信金・信組に問われそうだ。

本業支援の取り組みに濃淡

人手不足や競争環境の激化などを背景に、中国地方の中小・零細企業の経営状況は厳しさを増している。信金・信組にとって取引先の本業支援や収益改善に向けた取り組みは、与信コストを抑えるだけでなく新たな資金需要の開拓にもつながる。

本業支援の一環で、外部の専門家の派遣に取り組む信金・信組は増えている。広島信用金庫(広島市)では中小企業庁が手掛ける企業向け支援サイト「ミラサポ」を活用し、中小企業診断士などの派遣を顧客向けに提案している。土木建築業の取引先には原価管理ソフトの導入を支援し、収益の改善につなげた。

事業承継の支援を進めるのは呉信用金庫(広島県呉市)や津山信用金庫(岡山県津山市)などだ。M&A(合併・買収)による事業承継の仲介サイトを手掛けるトランビ(東京・港)と業務提携し、同サイトを顧客に紹介する。廃業を防ぐための選択肢として提案し、地域経済の下支えにつなげる。

専門家の派遣や他業種との連携を通じた取り組みが進む一方で、顧客の本業支援に向けた動きには各信金・信組で濃淡がある。取引先の経営課題に向き合う伴走型の支援が、安定した利ざやの確保には欠かせない。

(田口翔一朗)

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