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J1首位を快走 FC東京を待ち受ける試練の秋

サッカージャーナリスト 大住良之

Jリーグは「折り返し」を過ぎ、7月7日までに全34節中の18節を消化した。FC東京が12勝3分け3敗、総得点28、総失点13、勝ち点39というすばらしい成績で、2位横浜F・マリノス(勝ち点33)以下に大差をつけて首位を快走している。

長谷川健太監督が就任して1年目の昨年も、FC東京は前半戦の第17節まで10勝4分け3敗、勝ち点34で2位だった。FWディエゴオリベイラが得点を量産し、初優勝も夢ではないと思われた。しかしシーズン後半は大失速。17戦で4勝4分け9敗、勝ち点を16しか積み上げることができず、結局6位に終わった。

7月7日のG大阪戦の後半、ディエゴオリベイラのゴールをアシストし、高萩(左)と抱き合って喜ぶFC東京・永井。眠っていた才能が覚醒したようだ=共同

今季も同様の懸念はあった。前半の好成績を支えてきたのは、「17歳」のMF久保建英だったからだ。GK林彰洋、DF森重真人、MF橋本拳人を軸とする守備は鉄壁。MF高萩洋次郎、東慶悟、FWディエゴオリベイラ、永井謙佑らが並ぶ攻撃陣も、運動量が多く、コンビネーションも良い。しかしその攻撃をまとめ、決定的なチャンスを次々と生みだしてきたのが、久保だった。

昨年の後半を横浜Mへの期限付き移籍で過ごし、J1での初得点も記録して戻ってきた久保は、短期間でフィジカルが見違えるように強くなり、今季は開幕から完全に攻撃の中心となった。しかし6月4日、18歳の誕生日とともにFC東京を離れ、スペインのレアル・マドリードとの契約が発表された。

久保はコパアメリカ(南米選手権)出場の日本代表に選出され、2得点を記録した6月1日の第14節、大分トリニータ戦を最後にチームを離れた。その後FC東京は今季初の連敗。「やはり久保抜きでは、昨年と同じことになるのか……」と誰もが心配したことだろう。

久保建移籍の不安を吹き飛ばした永井

そんな不安を吹き飛ばしたのはFW永井だった。「首位攻防戦」となった第17節、6月29日の横浜M戦で1得点2アシストの活躍で4-2の勝利に導き、続く第18節、7月7日のガンバ大阪戦も、2得点を記録して3-1の勝利をもたらした。

永井はJリーグ随一といっていいスピードをもつストライカー。2012年ロンドン五輪で日本をベスト4に導いた後、日本代表にも選ばれたが、定着はできなかった。しかし、ことし6月に日本代表に追加招集で選ばれると、エルサルバドル戦で2得点。眠っていた才能が30歳を過ぎて完全に覚醒した。

出場機会が減っていた元日本代表DF太田宏介が7月に入って名古屋グランパスに移籍。その穴はG大阪から元韓国代表DF呉宰碩(オ・ジェソク)を補強して埋めたが、森重と鉄壁のセンターバック・コンビを組んできた元韓国代表DF張賢秀(チャン・ヒョンス)もサウジアラビアのアルヒラルに移籍することになりそうなのが不安材料。しかしセンターバックにはU-22日本代表として6月のトゥーロン国際大会で見事な守備のリーダーぶりを見せた岡崎慎がいるので、大崩れの要因にはならないだろう。

FC東京にとって、それ以上の懸念材料は、8月下旬から11月上旬までの「アウェー8連戦」だろう。Jリーグはホームとアウェーを交互に行うのが通例。今季のFC東京がこんな日程になってしまったのは、ラグビー・ワールドカップの影響だ。

ラグビーW杯で2カ月もホーム使えず

9月20日に開幕し、11月2日に日産スタジアム(横浜国際総合競技場)で決勝を迎えるラグビー・ワールドカップ。FC東京がホームとしている味の素スタジアム(東京スタジアム)は、この大会のメイン会場で、全48試合中の8試合が行われ、大会の1カ月前から大会が終わる11月上旬まで完全に使えなくなる。そのため、FC東京は8月17日の第23節サンフレッチェ広島戦を最後に3カ月もアウェーでだけ戦うことになり、その次のホームゲームは11月23日、第32節の湘南ベルマーレ戦となる。

6月23日の仙台戦に敗れ、肩を落とすFC東京イレブン。アウェーでは今季7試合で勝ち点9しかあげていない=共同

ラグビーのワールドカップには全国で12スタジアムが使われる。Jリーグのホームスタジアムも6つ含まれるが、大会の全期間で使えないのは味の素スタジアムと横浜Mの日産スタジアムだけ。しかし横浜Mはこの間同じ横浜市のニッパツ三ツ沢球技場でホームゲームを開催するので、ホームとアウェーでほぼ交互に戦うことができる。

実はFC東京は「アウェー8連戦」に備え、リーグ前半戦のうちにホームゲームを「貯金」してきた。第18節までにホームで11試合を消化してきたのだ。そしてこのホームでの圧倒的な強さが現在の「首位」というポジションをFC東京に与えた。11戦でなんと10勝1敗、総勝ち点39の実に76.9%に当たる30点をホームで記録しているのだ。この間のアウェー7戦の成績は2勝3分け2敗。わずか勝ち点9であることが、遠征続きの負担というだけではない「アウェー8連戦」への不安要素となっている。

今後、FC東京を脅かす最大の存在と見られるのがJリーグ3連覇を目指す川崎フロンターレ。今季もアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)で出遅れたものの、第18節まで13戦負けなしで3位まで上げてきた力は、さすがにディフェンディング・チャンピオンと思わせるものがある。第19節、7月14日の直接対決(味の素スタジアム)は、大きな注目だ。

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