ギリシャ、緊縮財政維持の見通し 市場が政権交代注視

2019/7/8 21:58
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ギリシャの政権交代には市場も高い関心を寄せている。与党となった中道右派の新民主主義党(ND)は緊縮財政路線を維持する見通しで、市場は当面、財政リスク再燃の可能性は小さくなったと受け止めている。ただ、持続的な経済成長の実現には課題が多い。

ギリシャ国債(10年物)の8日の利回りは一時、前営業日比で0.1%低い2.0%台まで低下(債券価格は上昇)した。5月下旬に欧州議会選でNDが第1党になって以降、長期金利は下落基調にある。

世界的な景気減速から米欧の中央銀行などが金融緩和策に動くとの期待から、各国で利回りは低下する傾向にあった。ただ、ギリシャに対しては「政権交代への期待が高まった」(第一生命経済研究所の田中理主席エコノミスト)ことで金利低下のペースが早まった。政権交代が現実味を帯びた5月下旬以降、3%台だった10年債の利回りは急落した。

政権交代が実現し、ひとまず市場には安心感が広がるが「中長期的には楽観できない」(みずほ総合研究所の吉田健一郎上席主任エコノミスト)との指摘がある。ミツォタキス新首相は外資企業などの誘致のため法人税減税を訴える。しかし、2018年にEUの金融支援プログラムから卒業する際、チプラス前政権は22年まで3.5%の基礎的財政収支の黒字を確保すると約束している。

EUとの再交渉でこうした制約を外し、財源を確保する案も浮上している。しかし、アテネ経済商科大のパノス・ツァクログル教授は「EUと交渉するにはまず経済成長を実現してみせ、再び財政赤字に陥らないということを示す必要がある」と話す。

ギリシャの金融機関が抱える不良債権問題への対応も待ったなしだ。新政権は経済成長のシナリオをどう描くのか。市場の信頼を得るためにも、具体策を早期に打ち出す必要がある。

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