スキャナーのPFU、世界でもまれて製品改良重ねる

2019/7/9 6:44
保存
共有
印刷
その他

スキャナー大手のPFU(石川県かほく市)が海外展開を加速させる。手薄だった東南アジアやアフリカなどの新興国市場を見据え、価格競争力のある製品を開発する。生かされるのは世界の商習慣や過酷な環境でもまれた経験だ。開発拠点でその現場を垣間見た。

「環境試験室」では寒冷地などの環境を再現して製品試験を実施する

サラサラした薄い伝票、シミのついた古紙、割れた部分をテープで補強したぶ厚い免許証――。本社の開発拠点の一角で、多種多様の紙やカードがスキャナーに次々と吸い込まれていく。

PFUは年間100万台のスキャナーを出荷し、業務用の世界シェアは50%超だ。全体出荷のうち9割が海外向けで、これまで100カ国への出荷実績がある。

開発にあたって世界中で使われている紙を取り寄せる。紙の数は1平方メートルあたり20~413グラムの範囲で約300種類にのぼる。その紙を汚したり、文字をかすれさせたりして膨大なパターンを試験する。

北極・南極圏から赤道直下まで、世界各地の環境を再現するのが「環境試験室」だ。気温はマイナス35~85度、湿度は0~99%で変更できる。ほこりを吹き出す装置や、標高3000メートルの高地を再現できる減圧装置などを組み合わせて、現地の環境に近づける。

世界市場でなめた数々の辛酸が徹底した対応の原動力だ。2005年に本格進出した中国では当初、厚みやサイズがバラバラの紙を一気に読み込む商習慣に対応できなかった。その後、現地から様々な紙を取り寄せて対応できるよう刷新。今では中国の四大銀行に同社の製品が導入されている。

インドでは、気温が40度に達するほこりの多い環境下で、機械を24時間稼働させるため不具合が起きた。部品の耐熱性を上げたほか、読み取り部分を密封して対応。ペルーでは標高3000メートルの事務所に導入した際、気圧の低下で部品が故障したが、部品に空気穴を開けて対応した。

同社イメージプロダクト事業部の増田稔部長は「100カ国に販売していれば、全く想像のつかないことがたくさん出てくる」と笑う。故障パターンに前例がなく現地の代理店で対応できない場合は、担当者が現地に飛んで原因を分析して改善し、次につなげる。

改良した機能が他地域にも応用できる場合には、コスト削減をはかりながら標準搭載する。増田部長は「過酷な環境で鍛えられて製品の質を向上させてきた」と語る。すでに高いシェアの欧米市場などは飽和状態に近づく。新たな市場を目指して、泥臭い挑戦は続く。

(毛芝雄己)

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]