2019年8月22日(木)

トルコリラに下落圧力、中銀総裁更迭で

トルコショック
2019/7/8 17:42
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トルコのエルドアン大統領による6日の中央銀行総裁更迭を受け、同国の通貨リラに下落圧力がかかっている。8日の外国為替市場では対ドルで一時、前週末比約3%安い1ドル=5.8リラ前後まで下落した。中央銀行の独立性喪失に加え、エルドアン氏が後任総裁に拙速な利下げを強いるとの懸念が広がっている。

エルドアン氏はイスタンブール市長選敗北に危機感を募らせている(6月29日、大阪市)

「利下げをするよう経済会合の場で繰り返し伝えていた」。7日のトルコ紙ヒュリエットはチェティンカヤ中銀総裁が「必要な措置を講じなかった」ことが更迭理由だとエルドアン氏が語ったと報じた。

ただ、一時25%を超えたインフレ率が6月には15.7%まで低下し、米国の利下げ観測からリラ相場も上昇基調にあった。市場では中銀が7月25日の次回金融政策決定会合で現在年24%の政策金利を1~1.5%程度引き下げるとの見方が強まっていた。

そのさなかでの更迭劇の背景には、6月23日に行われたイスタンブール市長選の再選挙での大敗がある。与党・公正発展党(AKP)側は手続きの不正などを主張してやり直しに持ち込んだが、得票率の差は大接戦だった前回から一転、約9ポイントに広がった。

中銀OBの有力エコノミスト、ウール・ギュルセス氏はエルドアン政権が景気浮揚のための大幅利下げなど「冒険的な道」を歩もうとしていると警鐘を鳴らす。

トルコでは2018年夏に同国在住米国人牧師の拘束問題を巡る米国との対立からリラが急落する「トルコショック」が起きた。翌月、中銀はリラ防衛のため、主要な政策金利を24%に引き上げたが、急激な引き締めを受け、国内総生産(GDP)は18年10~12月期から2四半期連続のマイナス成長に陥った。

景気後退でエルドアン政権への不満が膨らみ、19年3月末の統一地方選でAKPは首都アンカラなど大都市の市長ポストを失った。要職から外されたAKPの古参メンバーが新党結成に動くとの報道もあり、エルドアン氏は危機感を募らせていたもようだ。

20年まで任期を残していたチェティンカヤ氏は利下げだけでなく、中銀が積み立てている460億リラ(約8600億円)規模の準備金の政府への移管要求にも抵抗していたとされる。

トルコの中銀法では総裁の立場は保障されているが、エルドアン氏は大統領権限を理由に解任した。副総裁から昇格したウイサル新総裁が時期尚早の大幅利下げに踏み切ったり、政府が財政支出の拡大に踏み出したりすればリラへの信認が失墜し、一段のリラ売りを招く恐れがある。

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