2019年8月21日(水)

「どちらが勝っても」(ルポ迫真)
始動2020米大統領選(3)

米大統領選
2019/7/19 2:00
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学生ローン帳消し法案を公表したバーニー・サンダース氏=AP

学生ローン帳消し法案を公表したバーニー・サンダース氏=AP

「革命的な案だ」。2020年米大統領選で前回に続き民主党候補の指名を争うバーニー・サンダース(77)は6月24日、総額1兆6千億ドル(約170兆円)の学生ローンを帳消しにする法案を公表した。米景気は史上最長の拡大期に入ったが、学費や医療費の高騰で格差も広がる。「民主社会主義者」を標榜するサンダースは、若者や低所得者の支持を集める。

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問題は財源だ。「MMT(現代貨幣理論)はよい経済を生み出す」。6月28日、サンダースのブレーンである米ニューヨーク州立大教授ステファニー・ケルトン(49)は、米メディアのインタビューで語った。MMTはインフレにならなければ自国通貨建ての借金をいくら増やしても構わないとの説。若者の支持を集める女性下院議員アレクサンドリア・オカシオコルテス(29)が「我々の議論の土台になる」と述べ、脚光を浴びた。

当局者や市場関係者は一斉に批判した。米連邦準備理事会(FRB)議長ジェローム・パウエル(66)は「全くの誤りだ」と強調した。欧州中央銀行(ECB)次期総裁に指名されたクリスティーヌ・ラガルド(63)は「極めて限られた状況でないと機能しない」と距離を置く。財政赤字を放置すれば、いずれ高いインフレや金利急上昇、通貨の暴落を招くリスクがあるからだ。世界最大の運用会社ブラックロックの最高経営責任者(CEO)ラリー・フィンク(66)は「くずだ」と切り捨てた。

識者がこぞって反発するのはわけがある。トランプに対抗してポピュリズム(大衆迎合主義)競争が強まるほど、民主候補は見栄えのいい政策で国民の関心を引く戦略に出る。たとえ理屈に穴があったとしても、国民の支持を集めれば政策となる。

学生ローン免除を支持するアレクサンドリア・オカシオコルテス氏=AP

学生ローン免除を支持するアレクサンドリア・オカシオコルテス氏=AP

6月17日、貧困の解消を訴える「プア・ピープルズ(貧困者)キャンペーン」。前副大統領ジョー・バイデン(76)は「搾取はかつてなく極端になっている」と強調した。エリザベス・ウォーレン(70)は「富裕層以外に尽くす政府を望む」と呼びかけた。民主候補は各論に差はあっても、大きな政府で格差を縮めるとの主張は共通する。それには巨額の財源が必要だ。

トランプは財政出動を強め、FRBへ利下げを要求する。一方、民主党が勝っても財政出動と金融緩和は加速しかねない。「共和、民主のどちらが勝っても、財政と金融政策の規律が乱れかねない」とある中銀首脳は警戒する。(敬称略)

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