2019年8月25日(日)

「政治は直感がすべて」(ルポ迫真)
始動2020米大統領選(2)

米大統領選
2019/7/18 2:00
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6月28日午前10時20分ごろ、20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)の会場となった国際展示場「インテックス大阪」。インド首相ナレンドラ・モディ(68)との会談を終えた米大統領ドナルド・トランプ(73)は足早に控室へ向かった。米南部フロリダ州で開かれた2020年大統領選の民主党指名を争う候補のテレビ討論会の生中継を見るためだ。不法移民にも医療保険を提供すべきだと10人の全候補者が主張すると「米国民のことを最優先に考えるべきではないか」とすかさずツイッターでやじを入れた。10分程度でテレビ観戦を切り上げるとドイツ首相アンゲラ・メルケル(65)との会談に向かった。

トランプ米大統領は対中政策でもバイデン氏を批判する(6月18日、フロリダ州)=ロイター

トランプ米大統領は対中政策でもバイデン氏を批判する(6月18日、フロリダ州)=ロイター

トランプは焦っていた。19年春に自らの選挙陣営が実施した世論調査で、大統領選のカギを握るテキサスやミシガン、ペンシルベニア各州で前副大統領ジョー・バイデン(76)に敗北するとの予測が出た。トランプは側近に「そんな調査はなかったことにしろ」と不満をぶちまけた。前回大統領選の顧問にも次々と電話し「(バイデンは)年寄り過ぎる」と強がった。

トランプの再選戦略は16年と同じだ。6月中旬、トランプは大統領執務室でダイエットコーラを飲みながら米誌のインタビューに応じ「政治は直感が全てなんだ」と豪語した。選挙陣営スタッフはトランプにとって自分の直感の実行部隊だ。「私の人生は賭博そのものだ」とも語り、綿密な戦略は不要とみる。

政策も再選への損得勘定を直感ではじいて決める。6月20日夜、トランプはイランへの空爆を決行直前に急きょ撤回した。頭をよぎったのは「イランと戦争をすれば大統領再選に別れを告げるようなものだ」というFOXニュースの看板司会者タッカー・カールソン(50)の助言だ。イラン空爆は16年に公約した海外での米軍駐留縮小と矛盾する公算が大きい。「終わりなき戦争はしない」。トランプは土壇場で変心した。

5月上旬に2千億ドル分の中国製品に関税を上乗せすると突然決断し、今月16日にはほぼ全製品に制裁関税をかける可能性に触れたトランプ。対中強硬姿勢の伏線はバイデンが「中国は競争相手ではない」などと弱腰ともとれる発言をしたことだ。トランプが米連邦準備理事会(FRB)理事に一時検討したスティーブン・ムーア(59)は「多少の経済成長を犠牲にしてでも対中政策を争点にバイデンをたたく方が再選に有利と判断した」と解説する。(敬称略)

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