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大谷好調の背景、打球初速・角度に基づくデータ改善
スポーツライター 丹羽政善

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2019/7/8 6:30
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3月21日の引退会見でイチロー氏(現マリナーズ会長付特別補佐)は、大谷翔平(エンゼルス)に今後期待することを問われると、こう言った。

「世界一の選手にならなきゃいけない選手ですよ」

1994年に210本という当時のプロ野球シーズン最多安打記録を更新したあとのことについて、「その頃から急に番付を上げられちゃって、一気に。もうずっとそれからはしんどかったです」と同会見で振り返り、そうして期待をかけられることの苦しさを誰よりも知るイチロー氏が、なぜそこまで大きなプレッシャーをかけたのか。

あのとき、その真意を測りかねたものの、その高いハードルを今、大谷は越えていく。苦もなく、軽々と。

結局、偶然ではなく、必然なのだろう。

5日のアストロズ戦で中越えに13号本塁打を放つエンゼルス・大谷=共同

5日のアストロズ戦で中越えに13号本塁打を放つエンゼルス・大谷=共同

前回、「角度をつける」という大谷の取り組みについて触れた(「上げるのでなく上がる」大谷が追求している打撃)。

「結果的に上がっている打球に関しては比較的ヒットになったり、ホームランになったりしている率が高いので、そこ次第。かといって上げにいくのではなくて、自然に上がるポイントでしっかり捉えられるかどうかが、今は大事」

では、どう自然に上げるのか。まだそこを試行錯誤していた6月上旬、具体的な技術論より、大谷は感覚的な説明をした。

「なんて言うんですかね。こういう感じで、こう捉えにいっているときは、いいよな、悪いよな、というのがある。左右(の投手)によって(球の)軌道って違うんですけど、その軌道に(スイングの軌道を)合わせにいくとぶれてしまうので、軌道に合わすというより、こういうふうに飛んでいくんだろうな、という軌道で振れているかどうか」

あれから1カ月、どうなったのか。分かりやすくいうと、手がつけられなくなった。

低い打球角度続くも成績は大幅アップ

今回、復帰した5月7日から6月2日までの出場22試合と、6月4日から7月4日までの28試合のデータを比較したが、実のところ、打球の平均角度そのものは相変わらず低い。前者、後者ともわずか2.8度である。昨季は12.3度。それでも前者の打撃成績が打率.225、長打率.326、OPS(出塁率+長打率).630、3本塁打だったのに対し、後者は打率.389、長打率.779、OPS1.201、9本塁打と劇的に改善されている。

なぜか。データをたどると、バレル率(バレルの数/打球数)に大きな変化があった。

バレルとは、打球初速と打球角度の組み合わせのこと。言葉を作った大リーグ公式サイトのMLB.COMによれば、その2つの要素によって生まれる打球結果が、打率5割以上、長打率1.500と定義されている。

かみ砕くと、例えば打球初速が99マイルの場合、打球角度が25~31度だと高い確率でヒット、しかも長打になりますよ、ということになる。打球初速が1マイル上がると角度の範囲も上下に広がり、100マイルの場合、24~33度でバレルゾーンに入る。つまり、打球初速が速くなればなるほど、打球角度が多少低くても、あるいは高くても、長打になる確率が高くなるということ。

バレル率が上昇、本人の言葉裏付け

大谷のバレル率を調べると、6月2日まではわずか7.7%(5/65)だったが、6月4日以降は19.4%(14/72)に上昇していた(昨季は16.0%でリーグ上位2%)。平均角度は変わらないものの、角度をつけた打球に関しては、「比較的ヒットになったり、ホームランになったりしている率が高い」という大谷の言葉通りとなった。

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