成長持続へ利下げ視野 FRBが議会報告書
【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)は5日、米議会に半期ごとに提出する金融政策報告書(通称ハンフリー・ホーキンス報告書)を公表した。「経済成長の持続へ適切な行動をとる」と明記し、景気の下振れ懸念が拭えなければ、早期に利下げに踏み切る考えを強調した。貿易戦争などで「設備投資が鈍化している」と警戒感をにじませた。
FRBのパウエル議長は10~11日、同報告書を基に上下両院の委員会で議会証言に臨む。金融市場は30~31日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げに踏み切ると予測しているが、同議長が金融緩和に転じる時期をどこまで明示するかが焦点となる。
報告書では「米経済の成長は1~3月期こそ強かったものの、最近は減速の兆しがある」と指摘した。家計支出は上向いているものの、貿易戦争などで企業心理が悪化して「設備投資が鈍化した」と警戒感をにじませた。
そのため金融政策は「景気見通しを巡る不確実性が増大しており、経済成長の持続へ適切な行動をとるだろう」と明記した。FRBは6月のFOMCでも同じ文言の声明文を発表し、パウエル議長はその後の記者会見で「金融緩和の必要性が高まっている」と主張した。利上げサイクルを完全に停止して、利下げに転じる可能性を示唆したものだ。
5日発表した6月の米雇用統計は、就業者数の伸びが市場予測を大きく上回ったが、7月30~31日のFOMCで利下げするとの先物市場での観測は、引き続き「100%」のままだ。「0.5%の利下げ」との見方は少なくなったものの、FRBが政策金利を0.25%引き下げるとの予測が市場の大勢だ。