公的年金、ESGに3.5兆円投資 18年度末
運用実績は2兆4千億円の黒字

2019/7/5 18:49
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GPIFは3期連続で運用益を確保した

GPIFは3期連続で運用益を確保した

公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が環境や企業統治などを考慮した「ESG投資」を増やしている。5日発表した2018年度末の資産残高は3兆5千億円に達し、1年前の2.3倍に増えた。企業に規律強化を迫り、長期で安定した成長につなげる狙いだ。全体の運用実績は約2兆4千億円の黒字だった。

黒字を確保したものの、18年度の運用利回りは1.52%で運用の指標である1.92%を下回った。高橋則広理事長は5日の記者会見で「ボラティリティー(価格変動率)の高い1年だった」と市場環境を振り返った。米中の貿易摩擦などで一時、世界的な株価下落があり、「安全性を考えると直ちに投資できる局面が少なかった」と説明した。

GPIFは18年度末時点で159兆2154億円の資産を持つ世界最大規模の機関投資家だ。資産の約半分を国内外の株式が占める。日本株を約40兆円持つ最大の投資家として注目度が高い。

東証1部に上場する全企業の株式を同じように買う東証株価指数(TOPIX)に連動した投資が主だったが、17年度からESG投資を始めた。企業統治や女性活躍の推進、炭素効率の優れた企業へ重点投資する株価指数を選び、資産残高を増やしてきた。

ESGは企業の持続的な成長力や安定性をはかる。優れた企業は長期で株価上昇や安定した配当が期待でき、市場の底上げにつながるというのがGPIFの見方だ。

直接的なESG投資だけでなく、株式運用を委託する運用会社の評価基準の一つにもESGの要素を取り入れている。大和総研の太田珠美主任研究員は「指数投資以上のインパクトを持っている」とみる。

GPIF主導で、民間の機関投資家でもESG投資は当たり前になりつつある。6月の株主総会では不祥事などを起こした会社に対し、厳しい態度で臨む機関投資家が増えた。

ただESG投資はすぐに効果が出るわけではない。国内株の運用成績をみると18年度は約2兆円の損失を出した。米中の貿易戦争などの要因が大きく、値動きの荒さに翻弄された格好だ。老後に2000万円が不足するとした金融庁の報告書で公的年金への関心が一段と高まるなか、ESG投資の意義を丁寧に説明していく必要がありそうだ。

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