2019年8月21日(水)

スイスABB、塗装ロボで日本開拓 熟練工の技再現

2019/7/5 18:15
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スイスのABBは5日、静岡県で塗装分野のロボット技術の説明会を開いた。熟練工の動作を再現するロボット技術を開発し、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」のシステムを日本で本格展開する。ABBは2018年に日立製作所に主力の送配電事業の売却を決め、ロボット事業に集中する方針を示している。日本は安川電機ファナックなどの競合が強いが、人手不足などで需要増が見込まれる。先進的な技術の提案で日本メーカーの「お膝元」を切り崩したい考えだ。

熟練工などの動きをコントローラーで記録し、ABBのロボットで再現する

熟練工などの塗装作業の動きをロボットが再現する(ABBのロボット)

静岡県島田市にある技術開発拠点「ABBテクニカルセンター」で記者向け説明会を開いた。新たに開発した熟練工などの動作をロボットに教えて再現するシステム「SRP」は、ゲームや映画のCG(コンピューターグラフィックス)を製作するために使われる動作追跡技術を活用する。

熟練工などが専用コントローラーを持ち塗装作業の動作を行い、塗料を塗るタイミングや動作の軌跡・速度をロボットに伝える。赤外線レーザーの発信器を空間に数個設置して動作の位置関係を把握できる手軽さが特長だ。

デモでは動作を伝えられたロボットが、同じ軌跡とタイミングで椅子に塗料を塗った。ABBの営業担当者は「『日本では熟練工の技能をデータで残したい』という要望が増えている」と話す。通常の動作設定ではロボットを実際に動かしたり、プログラムを書いたりして1日程度掛かる場合があるが、新たなシステムでは数十分程度にもできる。多品種少量生産を行う家具などの塗装現場の自動化に商機があると見込み、今後の商用化を探る。

自動車向けでもABBのロボットと塗装機にIoTを活用するソリューションを6月から日本で始めた。塗装機に振動・加速度のセンサーを搭載することで機器の負荷データを収集し、不具合などを常に把握できるようにする。水性塗料を塗る際の機器の汚れの洗浄を専用機材を使わず自動でできるようにし、作業効率を向上させた。他にも仮想現実(VR)を活用したロボットの動作シミュレーションも紹介した。

ABBの現在の日本ではファナックや安川電機などの後じんを拝する。だが世界では日本勢の2社に加え独クーカとともに世界4強に位置付けられる。ABBは送配電事業を日立製作所に売却した後、ロボットなどの工場自動化関連事業に経営資源を集中する方針を示す。ロボティクス事業部の中島秀一郎部長は「送配電を売却したことで日本市場の重要性が上がっている」と語り、最新技術を展開した今後のシェア拡大に意欲を示した。(福本裕貴)

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