2019年9月21日(土)

日航傘下のLCC「ジップエア」 20年5月就航へ

2019/7/5 17:02
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ジップエアの西田真吾社長(写真(右))が国土交通省の蝦名邦晴航空局長から事業許可証を受け取った(5日、東京都千代田区)

ジップエアの西田真吾社長(写真(右))が国土交通省の蝦名邦晴航空局長から事業許可証を受け取った(5日、東京都千代田区)

日本航空(JAL)傘下の格安航空会社(LCC)、ジップエア・トーキョー(千葉県成田市)が5日、国土交通省から事業許可を受けた。2020年5月に成田―バンコク線で運航を開始する。東南アジアや北米などLCCでは成功例の少ない中長距離路線をターゲットに据える同社は、米ボーイングの中型機「787」の集中運用に勝機を見いだそうとしている。

ジップエアは20年5月14日に成田―バンコク線で運航を始め、同年7月1日からは成田―ソウル線にも就航する計画。いずれも1日1往復する。

使用する航空機はボーイングの「787-8」型の2機で、座席数は290となる。現在50億円の資本金は運航開始までに200億円に増資する予定だ。

正式な航空会社として認められたことで、今後は運航管理施設の検査や安全性の実証試験の受験など、運航開始に向けた準備を本格化させる。

ジップエアはアジア路線で実績を積んだ後、長距離路線として21年度にも北米への就航を実現させたい考え。北米路線が実現すれば米大陸とアジアを往復する世界初のLCCとなる。

だが、事業の成功は簡単ではない。LCCは短距離路線を1日に何度も飛び、乗客数を増やすことで利益を上げている。往復できる回数が限られる中長距離路線はLCCの利点を発揮しにくい。

ジップエアが成功のカギとみるのが、使用する航空機を787に絞ったことによるメリットだ。

短距離路線が中心のLCCでは席数が200席弱のボーイング737やエアバスA320など小型機が多く使われる。小型機は席数の多い(座席の間隔が狭い)LCC仕様に変えても、日本航空などフルサービスキャリアの仕様に比べ15%程度しか席を増やせない。

この点、787などの中型機は「30~40%増やせる余地がある」(ジップエアの西田真吾社長)という。

実際、今回発表されたジップエアの787-8の席数は290席と、JALが国際線で運用する同型機の席数より4~5割席数が増えている。

それでも他社のLCCに比べれば比較的余裕のある設計がされているとみられる。西田社長は「長いフライトに適した仕様にする」と語り、上級クラスの設定も示唆する。787の室内空間を生かし、経済性の高さと客席のゆとりの両立を狙う。

小型機に比べ、客席下の貨物スペースが大きいことも利点の1つだ。機体を1種類に絞ることで整備などの費用も抑えられる。ジップエアはまず2機の787で運航を始め、就航から5年間で10機まで787を増やす計画だ。

国内線など短距離路線が飽和状態になる中、中長距離路線に成長を求めるLCCは多い。ANAホールディングス傘下のLCC、ピーチ・アビエーションも20年度末までに東南アジアなど中距離路線の就航を目指す。

ピーチが使用を予定するのは欧州エアバスの小型機、A321LRだ。ピーチは国内線でA320シリーズを集中運用しており、同系統のA321LRであれば導入に際しての負担が少ない。

「日本初のLCCとしてブランドの認知度を上げていくことがアドバンテージになる」と同社の遠藤哲経営企画室長。日本ブランドを前面に打ち出してアジア圏の顧客にアピールする。

中長距離LCCは同じ787を使うシンガポール航空グループのスクートや、アジア各国にネットワークを張り巡らすエアアジアXなど海外のライバルも多い。ジップの参入で競争はさらに過熱しそうだ。(井沢真志)

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