2019年8月21日(水)

福島のピュアロン、タイ企業とCT開発 市場はアジア

2019/7/7 18:00
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半導体製造装置の精密部品メーカー、ピュアロンジャパン(福島県いわき市)は医療機器分野のビジネスを始める。コンピューター断層撮影装置(CT)に組み込むX線の発生装置を開発した。タイでCTを手掛けるスタートアップ企業と連携。狙うのは東南アジア諸国連合(ASEAN)と日本の市場だ。

冷陰極X線管を持つ中島社長。CTに組み込む(福島県いわき市の研究所)

冷陰極X線管を持つ中島社長。CTに組み込む(福島県いわき市の研究所)

5月、バンコク。ピュアロンは医療機器ビジネスを始めるにあたり、規制当局との調整を担う合弁会社を設立した。合弁相手はピクサテック(バンコク)。省スペース型CTの開発で知られる企業だ。

「CTをさらに小さくできる」。ピュアロンの中島秀敏社長は、X線発生装置をピクサテックのCTに組み込むメリットをこう説明する。CTは一般に、医療機関に据え付けられる大型装置が多い。

新たなCTは数年以内の販売が目標という。小型化できれば持ち運べる。「患者の自宅に持っていく訪問診療や災害現場の診療で使えるだろう」と中島社長は期待している。

ピュアロンのX線発生装置は、カーボンナノチューブ(筒状炭素分子)を使って電子を放出する「冷陰極X線管」と呼ぶ電子源を用いる。主流である熱陰極(フィラメント)のX線管に比べて消費電力が少なく、装置を小型化しやすい。警備用の手荷物検査ですでに使われている。

カーボンナノチューブは次世代の半導体素材と期待され、ピュアロンも研究を続けてきた。中島社長は「10年以上かけて技術やノウハウを蓄積し、製品化のめどがついた。一気に事業展開を進めたい」と語る。

ピクサテックとの連携で、タイでの認証取得をスムーズに進める効果を期待している。日本での医療ビジネスも念頭にあり、いわき市にも規制当局との調整を担当する企業をピクサテックと設立した。

両社を結びつけたのは、2011年の東日本大震災からの復興に向け、福島県がブースを設けたタイの産業機械の展示会だ。震災で製造設備などに被害を受けたピュアロンが参加したことが、ピクサテックとの連携に結びついた。

堅調な半導体事業が支えだ。いわき市街を見下ろす高台の工業団地で、買収した廃工場をクリーンルームの備わる部品工場に再生する工事が急ピッチで進んでいる。8月にピュアロン第4工場として稼働する見通しだ。同社の18年7月期の売上高は16億円強。小型CTを実用化し、5年後にX線管関連の売り上げを数十億円にするのが目標だ。

中島社長は医薬品メーカーの研究職を辞めてピュアロンを創業した。「地元に貢献したい」と語る。震災からの復興と医療分野という思い入れのある領域での成否は、ピクサテックとの連携にかかっている。

 会社概要 製薬会社で薬の分析を手掛けていた中島氏が1985年に創業した。半導体回路をつくる材料ガスのフィルターやセンサーに強み。従業員は約50人。2017年、経済産業省が「地域未来牽引企業」に選んだ。

(郡山支局長 村田和彦)

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