静岡県内信金、利益確保へ貸出増や経費削減

2019/7/5 16:04
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長引く日銀のマイナス金利政策などを受け、静岡県内の信用金庫が貸し出しの「量」拡大や経費削減などで利益確保に動いている。2019年3月期決算で期中に合併した浜松いわたを除く10信金のうち、4信金で本業のもうけを示す実質業務純益が減少した。貸出金利回りの低下が続いており、厳しい状況が続く。

県内11金庫の19年3月期決算を集計した。浜松いわたは1月に合併しており、前の期(18年3月期)との比較対象からは除いた。実質業務純益が減ったのは富士、富士宮、焼津、掛川の4信金で、沼津、島田、遠州を加えた7信金は税引き利益が減益となった。

各信金は収益力低下を貸出量の増加で補おうとしている。期中平均の貸出金残高は、掛川を除く9金庫で前の期から増加した。静清は18年から担保に事業性評価による融資を伸ばすため、主に企業開拓を手がける担当者を25店に配置した。しずおかや遠州などはインターネットを通じた非対面サービスによって預金の受け入れや貸し出しを増やしている。「消費者向けローンの窓口を広げる取り組みで収支上も有効だ」(しずおか)

島田は後継者に悩む地元中小企業のM&A(合併・買収)仲介に注力し「手数料収益の確保につながっている」。経費削減では決裁のペーパーレス化など事務の効率化を進めている信金も多い。

ただ、貸出金利回りは1.35~1.64%と、10信金いずれも0.04~0.09ポイント低下した。収益力を示す総資金利ざやは4信金で低下した。このうち富士宮ではマイナスの「逆ざや」が続いている。浜松いわたも「合併関連費用(17億円)を計上した影響」(同信金)でマイナスになった。

業態間の競争も厳しくなっていることも影響しているようだ。信金の中からは「メガバンクは地銀の領域に、地銀は信金の領域に侵入して金利競争に拍車をかけている」などの声があがった。

20年3月期も楽観できない。前期と比較できる7信金のうち、実質業務純益が増加する見通しなのは富士宮のみだ。多くは横ばいにとどまると見ている。貸出金利回りも7信金すべてが低下を見込む。県内景気は先行き不透明感が強まっており、主要取引先の中小企業の業績に陰りが見えれば、貸倒引当金などの与信費用が膨らんで収益を圧迫しかねない。

県内の信金では1月の浜松・磐田、6月の掛川・島田に続き、7月16日にはしずおか・焼津と合併が相次ぐ。20年3月期末では9信金体制になる。島田掛川信金の伊藤勝英理事長は「取り巻く環境が厳しくなっており、一定の経営規模は必要だ」と話す。規模の差が徐々に広がるなか、生き残りへさらなる再編が持ち上がる可能性もある。(福島悠太)

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