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球界で恒例「七夕補強」 チームの誤算、緊急手直し

スポーツライター 浜田昭八

きれいに言うと「七夕補強」。その実はチーム編成の見込み違いを手直しする、締め切り間際の「駆け込み補強」。ストーブリーグならぬ、クーラーリーグといえるただ今、進行している緊急補強のことだ。

プロ野球のチームづくりには誤算がつきもの。即戦力と当て込んだドラフト上位指名選手や新外国人選手が、思ったほど働かないことが多い。成長を見込んだ若手が、意外に伸びないケースもある。活躍した投手が、積年の疲労で低迷することもよく起きる。

このままでは優勝はおろか、クライマックスシリーズ(CS)出場も危うくなると判断したとき、なりふりかまわず補強に着手する。ただ、野球協約の規定で、新加入選手と入団契約を結ぶことができるのは7月末日まで。それ以降の新加入を認めると、優勝やCS出場をあきらめた球団から選手を短期レンタルするような、望ましくない事態が生じるからだ。だから毎年、6月下旬ごろから7月いっぱいは正当な「駆け込み補強」が盛んに行われる。

藤岡、珍しい2年連続の「七夕移籍」

補強の形はチーム間の交換トレード、または金銭トレードが主流。米大リーグ昇格が見込めなくなったマイナーリーグ、3Aクラスの外国人選手を獲得することも多い。また、1軍の試合に出場できない育成選手を支配下選手に引き上げ、契約を交わし直すこともある。昨年のオリックスは育成選手の佐野皓大を7月31日に支配下登録する、文字通りの「駆け込み補強」を敢行した。同選手は代打、外野の控えとして、今季も1軍で重宝されている。

今年注目されたのは、6月26日に発表された巨人・吉川光夫、宇佐見真吾―日本ハム・藤岡貴裕、鍵谷陽平の2対2の交換トレードだろう。吉川は2017年に日本ハムから巨人へ移っており、2年半後の"帰郷"だ。12年に14勝してパ最優秀選手(MVP)に選ばれたときの輝きを取り戻せるか。宇佐見は移籍2日後の同28日のソフトバンク戦から早くも試合に出場。新チームの投手とうまく息を合わせている。初戦には新ユニホームが間に合わず、借り物で出場したのはご愛敬だった。

交換トレードで日本ハムから巨人に入団し、記者会見でポーズをとる藤岡(左)と鍵谷=共同

藤岡は12年ロッテ入団の投手だが、昨年も7月26日に日本ハムの外野手・岡大海との交換で移籍している。2年連続で「七夕移籍」とは珍しい。その昔なら扱いにくい投手とみられただろうが、中継ぎ投手が勝敗のカギを握ることが多い今では、首脳陣が求める貴重な存在といえるだろう。

6月30日にオリックスから中日への移籍が発表された松葉貴大は待望の左腕。中日では小笠原慎之介と笠原祥太郎が足並みをそろえたかのように低迷している。2人は昨季と今季の開幕投手で、ともに左腕。松葉は両投手を刺激する役目にとどまらず、ドラフト1位入団、7年目の今季に勝負をかける意気込みで臨まねばなるまい。

交換トレードでキーワードになるのは、両球団の「思惑が一致」だ。投打のバランスを欠いているチーム同士が、互いの穴を補完するのが理想だろう。ところが、どこでも投手は欲しい。ケガが多い捕手もスペアが必要。そんなところで、本当に思惑は一致しているのだろうかと思う。4日に発表された阪神・石崎剛―ロッテ・高野圭佑という右投手同士の交換トレードに、どんな思惑があるのか見守りたい。

締め切りまでに緊急補強のヒット期待

新外国人を刺激剤にして、外国人同士にも競争させようというのも最近の傾向。中日からオリックスへ金銭トレードされたモヤは外国人枠からはみ出ていた。3日、移籍後初戦のロッテ戦で初打席に本塁打を放った。出場機会が増えそうと本人は喜んでいるが、すでに在籍している外国人の復調があれば、どうなるか分からない。

外国人打者に"外れ"が多く、貧打に悩む阪神は3日、大リーグのジャイアンツなどでプレーし、今季途中からマーリンズ傘下の3Aに所属するソラルテの獲得を内定した。内外野を守ることができるスイッチヒッターで、大リーグ生活6シーズンで75ホーマーを放っている。ナバーロは2軍に落ちたまま、マルテも爆発しない状況を打破するカンフル剤になるだろうか。

巨人は6月27日、大リーグ7シーズンで26勝をマークしている右腕デラロサを獲得した。巨人の外国人投手はこれで6人。外国人投手の1軍登録は同時に3人までなので、登録と抹消をうまく繰り返さねばならない。

それとは別に、緊急補強の外国人の多くはその年限りの契約。日本の球団の窮状を見透かしたように、彼らに有利な条件を求められているようだ。補強締め切りまであと半月あまり。どんな補強が飛び出すか分からない。ペナントの行方を左右しそうなヒット緊急補強を期待したい。

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