碑に刻まれた声、防災に 地理院「災害伝承碑」導入

2019/7/5 7:18
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これまでになく遅い梅雨入りとなったとたん、各地を豪雨が見舞った。四国はじめ全国に大雨や津波や地震被害を伝える石碑などが残る。繰り返される自然災害に先人の経験を役立てようと国土地理院が13年ぶりに新たな地図記号を導入し、ウェブ上の地図で場所を示す取り組みを始めた。刻まれた文字に込められた声に耳を傾け日ごろの防災意識向上を訴える。

伝承碑の地図記号上に災害名などが表示される(国土地理院のホームページより)

伝承碑の地図記号上に災害名などが表示される(国土地理院のホームページより)

新たに導入した記号「自然災害伝承碑」は、過去に発生した津波、洪水、火山災害、土砂災害など自然災害の当時の様子を伝える石碑やモニュメントのこと。国土地理院では徳島の7基を含め全国27都府県48市町にある158基を選定し、ウェブ上の「地理院地図」での位置表示を始めた。

愛媛や高知に大きな爪痕を残した2018年の西日本豪雨で甚大な被害を受けた広島県坂町には、100年以上前の水害を伝える石碑が鎮座する。そこには猛烈な雨で川が決壊し、2人が亡くなったと刻まれている。地元では碑があることは知られていたが、18年の被害を予見するような内容までは周知されていなかったという。

自然災害による悲惨な被害を繰り返さないためにも、地図にできることはないか、そんな思いから国土地理院が全国の自治体と連携して伝承碑の所在地を把握。新たな記号を制定して6月19日から地理院地図での掲載を始めた。今後も準備が整い次第、新たな碑の所在地を追加していく。

新たな記号は従来の地図記号「記念碑」よりも縦の長さを倍近くにすることで、より目立つようにした。地理院地図で伝承碑記号をクリックすると、災害の種類や年月などが碑の画像と共に拡大される。9月からは紙の地図にも自然災害伝承碑記号の掲載を始める。

四国では徳島の7基が登録された。牟岐町の碑は1946年の昭和南海地震や、1854年の安政南海地震を今に伝える。まだ登録はされていないものの、高知や香川は水害関係の伝承碑がある可能性がある。国土地理院四国地方測量部の担当者は「四国で今後警戒するとなると、南海トラフ地震や洪水などの水害になる」と述べる。

自然災害伝承碑の存在を地域住民に広く発信するため、徳島の道の駅に伝承碑についての告知パネル設置を検討している。防災教育を進めるために愛媛の高校で講義、ウェブ地図について紹介したほか、7月には徳島の小学校で地図記号を紹介する際、伝承碑を子どもたちにも知ってもらう予定だ。地域の史跡巡りのコースに伝承碑を組み込んでもらうことも想定している。

伝承碑の教訓は、土地に蓄積されてきた記憶ともいえる。今に生きる情報としていかせるかどうかは、受けとり方次第だと言うことに気づく。(桜木浩己)

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