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パラマラソン・道下 まず世界選手権V3へ

2019/4/26 6:30
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28日にロンドンで行われるパラ陸上マラソン世界選手権で、女子視覚障害(T12)3連覇を狙うのが道下美里(42、三井住友海上)だ。日本人最上位で4位までに入れば、東京パラリンピック代表にも内定する。リオデジャネイロ大会は銀メダル。身長144センチ、体重36キロと小柄な体を生かしたピッチ走法で頂点への弾みをつけたい。

日本の出場選手のうち、ベストタイムは世界記録(2時間56分14秒)を持つ道下が断トツ。リオ優勝のスペイン選手なども参加せず、普通に走れば優勝は堅い。本人も「平常心で臨みたい」と泰然としている。

世界選手権に向けて調整する道下(左)

世界選手権に向けて調整する道下(左)

最近強化をしているのが、トップスピードの8~9割の速度で継続して走る「スピード持久力」だ。もともとスピードランナーではないが、ある程度の速度を保って最後まで押し切る才能にはたけていた。そこでインターバル走でも設定タイムを緩めるかわりに本数を多く、間隔を短くする持久系にシフト。「マラソン後半でも落ちることなくフィニッシュできる」

そのトレーニングに自信を持てたのが昨年12月の防府読売マラソンだ。前年大会で作った世界記録更新を目指し、過去最高となる月間700キロを走り込んで臨んだ。当日はあいにくの雨。視覚障害者がよけにくい水たまりも気になり、6分近く遅れた。それでも「前半は1分早い。条件が良ければ記録は出た。練習は間違いではなかった」と前向きにとらえる。

東京対策も着々と進めている。昨年9月、東京パラのコースを試走。今年3月の東京マラソンも走り、路面の色や凹凸を確認した。歓声のすごさも体感し、「この中を1位で帰ってくるんだと想像し過ぎてドキドキした」と、イメージトレーニングもばっちりだ。

リオでの活躍で、道下の伴走を希望する人が引きもきらない。昨年、皇太子さまと走ったことはよく知られるが、3年前には米国のケネディ駐日大使(当時)が伴走した。その縁で昨年5月、人権を学ぶ米国務省のプログラムで1カ月ほど米国各地を回った。

聴覚障害者の学校教師から、「障害者の女の人でもスポーツができるの?」と聞かれたことが忘れられない。「日本は恵まれている。だから勝つことで、日本の素晴らしさを世界に伝えたい」。障害があってもスポーツを楽しむ権利の体現者との自覚が生まれた。

NHKで放送中の大河ドラマ「いだてん」が好きだという。五輪に初挑戦した金栗四三がマラソンを棄権しても、選手団長の嘉納治五郎は「世界に出ていくだけで大成功」と励ます。「誰かがやらないと何も始まらない。その背中を見て他の人が続く。金栗さんとは違うけど、自分に重ね合わせてしまう」。東京での金メダルは、横を走る伴走者だけでなく、後ろに続く後継者もひき寄せるのだろう。

(摂待卓)

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