暮らしの課題、誰に託す? 関西でも舌戦スタート

参院選2019
2019/7/4 12:14
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参院選が4日公示され、21日の投開票日に向けた選挙戦がスタートした。金融庁の報告書が「公的年金だけでは老後に約2000万円不足」と指摘したのをきっかけに改めて浮かび上がった将来への不安。アベノミクスの成果や10月に予定される消費増税を巡る賛否――。有権者は様々な思いを胸に、第一声を上げる候補者の訴えに耳を傾けた。

街頭演説を聞く有権者ら(4日午前、神戸市中央区)

街頭演説を聞く有権者ら(4日午前、神戸市中央区)

年金・社会保障

大阪選挙区から立候補した野党の現職候補は4日午前、大阪市内で第一声を上げ「自民党は老後の生活にも自己責任を負わせようとしている。安心して暮らせる年金が必要だ」と力を込めた。

「年金だけでは将来暮らせない」。大阪府寝屋川市の女性会社員(43)は月7万円程度との年金額の見通しが書かれた通知を見て、自ら資産形成しようと投資信託を買い始めた。

中学3年の娘(15)を育てるシングルマザー。勤務先の業績が伸びて賃金も上がったが、今後必要となる娘の進学費用などを考えれば、将来の不安は消えない。「家計を支援してくれそうな政党に投票したい」と話す。

金融庁の審議会が6月にまとめた報告書は夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦の場合、年金収入だけでは生活費が月約5万円、30年で約2000万円不足するとの試算が盛り込まれ、大きな話題となった。野党は参院選の最大の争点と位置づける。

ただ、堺市の男性会社員(33)は「野党も政権を担っていた時期があり、今の年金制度に責任を負っているはず」と疑問を投げかける。4月に第1子が生まれ、将来の学費などに備えて月4万円を学資保険に充てる。老後資金も公的年金には頼れないと覚悟し、積立型の定期預金を検討中だ。

飲食店の開業を準備する大阪市福島区の男性(28)は「商売が軌道に乗るか分からず、老後のため貯蓄する余裕はない」と打ち明ける。今秋、第2子が生まれる予定もあり焦りが募る。「国などはもっと早く手を打てなかったのか」と憤る。

既に年金を受給している世代からも注文が上がる。大阪市中央区の社会保険労務士の男性(69)は「金融庁の報告書が公表されてから、顧客の経営者らが年金を話題にすることが増えた」という。「妻と二人暮らしで、自分も年金だけでは生活できない。子供、孫など将来世代のために年金を守ってくれる候補者を見極めたい」と話した。

景気・消費税

「2012年に政権を奪還して以来、経済中心にこの国を立て直してきた。多くの数字や指標をみれば明らかだ」。大阪選挙区から立候補した与党の現職候補は4日午前、大阪市内でアベノミクスの成果を訴えた。

不動産会社で働く大阪市淀川区の男性会社員(42)はインバウンド(訪日外国人)の増加などによる景気への好影響を実感している。「梅田や御堂筋周辺でオフィス需要が高まっていて、テナント料を大幅に引き上げた物件もある」

大阪では2025年国際博覧会(大阪・関西万博)の開催が決まり、大阪府・市はカジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致を目指している。「ますます大阪に関心を示す外国企業が増えるのでは。良い流れを継続してほしい」と期待する。

「給料が上がったし、今の暮らしに不満はない」と話すのは、大阪府吹田市の人材派遣業の女性会社員(30)。既に夏のボーナスを海外旅行費や化粧品の購入に使った。

10月には消費税率10%への引き上げが予定されている。「子供ができてもフルタイムで仕事を続けたい。使途が子育て施策であれば増税はやむを得ない」と考える。

一方、大阪市大正区で2児を育てるパート従業員の女性(36)は「アベノミクスによる景気回復を感じたことはない」と言い切る。夫が経営する鉄工所の売り上げが落ち込み、子供の小学校入学で教育費もかさむ。「増税は家計にとって大きなダメージだ」と嘆く。

同区で喫茶店を営む女性(55)も「景気が良くなったのは大阪市内の中心部のみ。お客さんの中には工場を廃業した人もいる」と不満げだ。店ではコーヒー1杯を400円で提供。増税で20円の値上げを検討しているが「客離れが起きないか」と不安を募らせる。

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