2019年8月20日(火)

NY株が9カ月ぶり最高値更新 上昇力は世界で突出

2019/7/4 5:19
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ダウ平均は9カ月ぶりに最高値を更新(ニューヨーク証券取引所)=ロイター

ダウ平均は9カ月ぶりに最高値を更新(ニューヨーク証券取引所)=ロイター

【ニューヨーク=宮本岳則】3日の米国株式市場ではダウ工業株30種平均が続伸し、2018年10月3日以来、約9カ月ぶりに史上最高値を更新した。6月末の米中首脳会談で両国が貿易協議で決裂する最悪シナリオが回避され、株式などリスク資金に再び資金が向かいやすくなった。世界の中央銀行の緩和姿勢や堅調な米景気に加えて、巨額の自社株買いも米国株優位につながった。

3日の米国株市場は朝方から上昇して始まり、ダウ平均は午前中の早い時間帯に前回の最高値(2万6828ドル39セント)を超え、上げ幅を徐々に拡大。終値は前日比179ドル32セント(0.66%)高の2万6966ドルだった。消費関連の上昇が目立ち、日用品大手の米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)は史上最高値を更新した。

主要国・地域の株式で米国株の上昇は突出している。トランプ氏の大統領就任が決まった16年11月以降の上昇率をみると、ダウ平均は46%に達し、日経平均(26%)や欧州株(17%)、新興国株(20%)を大きく上回る。背景を探ると、(1)米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和姿勢(2)他の先進国との比較で堅調な米経済(3)過去最高水準が続く自社株買い――の3つの要因が浮かびあがる。

まずFRBが6月、利下げで景気を支えることに前向きな姿勢を見せ、投資家は株式などリスク資産に資金を振り向けやすくなった。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)が金利先物から市場の予想する利下げ確率で、FRBが7月の会合で利下げに踏み切る確率は100%に達している。

欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁も6月下旬の会合で突如、金融緩和の実施をにおわせた。次期総裁に指名されたラガルド国際通貨基金(IMF)専務理事もその路線を踏襲するとみられる。「政治の不透明さが続く限り、世界の中銀が緩和的な姿勢をとる」(米運用会社ジャナス・ヘンダーソン・インベスターズのジョージ・マリス氏)との見方が買い安心感につながっている。

金融緩和観測による金利低下で、年金基金など債券を主要投資先とする長期投資家は運用難に陥っている。米長期金利の指標となる米10年債利回りは3日に一時1.94%まで低下。独長期金利も3日、過去最低を更新した。一方、S&P500構成銘柄の配当利回りも1.9%程度で米長期金利とほぼ並ぶ。「日用品株や不動産株など安定成長の高配当利回り株に運用難の資金が集まっている」(米金融サービス会社ミラー・タバックのマシュー・マリー氏)。

投資家が資金の振り向け先を再検討するなかで、米国は世界株の中で安心感のある投資先だ。IMFは19年の米国の実質国内総生産(GDP)成長率を2.3%と見込む。減速はしているものの、欧州(1.6%)や日本(1%)に比べて高い。米公的年金のカリフォルニア州教職員退職年金基金のクリストファー・エイルマン最高投資責任者(CIO)は「他の地域に比べて相対的に良好」として、米国株に多めに資金を配分している。

米企業による積極的な自社株買いも相場を支える。S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズによると、主要500社の19年1~3月期の自社株買い総額が前年同期比9%増の2058億ドルに達し、四半期として過去2番目の大きさとなった。米ゴールドマン・サックスは投資主体別の売買動向で、19年の米株最大の「買い手」は自社株買いと予想する。

もっとも、金融緩和頼みの株高には持続力の面で疑問が残る。運用難による消去法的な米株買いの側面もある。米中貿易戦争は「一時休戦」となったものの、合意のメドは立っていない。米中対立の余波で米企業業績も減速が目立ち、先行きを警戒する声もくすぶっている。

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