リビアの移民収容所に空爆、少なくとも44人が死亡
【カイロ=飛田雅則】東西に分裂するリビアで2日夜、首都トリポリ近郊で移民収容所が空爆を受け、ロイター通信などによると少なくとも44人が死亡した。どの勢力が攻撃したか明らかではないが、サラメ国連特使は「(犠牲者数は)明らかに戦争犯罪といえるレベルにある」と批判した。

現地の報道は施設の床に犠牲者の遺体や衣服、靴などが散乱する様子を伝えた。ほとんどの犠牲者はアフリカ各地から欧州を目指し、リビアに逃げてきた移民とみられる。130人以上が負傷しており、今後も死傷者が拡大する可能性がある。
空爆についてトリポリを拠点とする暫定政権は、トリポリ制圧を狙い進軍する東部の武装組織「リビア国民軍(LNA)」が空爆したと批判している。一方、LNAは否定している。リビアでは2011年の抗議デモをきっかけに長期独裁のカダフィ政権が崩壊して以来、国を分断する内戦が続いている。
国連安全保障理事会は3日、リビアの移民収容所への空爆を受けて非公開の緊急会合を開いた。合意形成は難航しているもようで、ロイター通信は、米国が空爆を非難する声明を出すのを拒んでいると伝えた。国連のグテレス事務総長は空爆を「最も強い言葉で非難する」と表明し、独立調査を呼び掛けた。