2019年8月24日(土)

金沢の人と体験に巡り合う旅を 旅行ガイド、ポール・ファリスさん
拓き人

2019/7/4 6:45
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北陸新幹線の開業で盛り上がる金沢市の観光。2018年設立の金沢アドベンチャーズ(金沢市)は観光客の好みに合わせてツアーをカスタマイズする旅行会社だ。ツアー作りを手掛けるのが、カナダ人ガイドのポール・ファリス(55)だ。40年前の金沢留学時に知り合った人との縁が、ガイドになったきっかけだ。

北極圏での警察勤務など、世界を飛び回った経験を生かす(金沢市)

「モノではなく人と人、人と体験を巡り合わせる『特別体験提供者』」。ポールは自分の仕事をこう説明する。ツアーの9割以上は顧客と相談して作り上げる。例えば金沢の伝統工芸、加賀友禅にふれるツアーなら、気鋭の作家の製作現場を見るほか、製作の苦労などを直接聞くことで「人との触れ合い」を重視する。

その信念の裏側にあるのは、自身が金沢で40年前から紡いできた人との縁だ。ポールはカナダのトロント出身。17歳の時に金沢市の高校に留学し、初めて日本を訪れた。1年間の留学だったが、大切な親友ができた。

その親友とは高田英美と妹の若林好美で、英美が金沢アドベンチャーズの親会社で役員を務めていた縁が今の仕事へと導いた。「あの時、金沢に留学していなかったら、どんな人生を歩んでいたか分からない」と笑う。

高校を卒業後、ポールはトロント大学に入学した。在学中に金沢大学に留学したほか、金沢の企業へのインターンシップを経験し縁を深めた。

ポールにガイドとしての強みを尋ねると「観光客と話し、体験したいことを感じ取れる『感度』ではないか」という返事が返ってくる。その感度は、世界中を飛び回った経験が磨いたものだ。

大学卒業後は、インターン先に新潟の銀行を紹介してもらい就職した。バブル崩壊をきっかけに辞めたあとは、カナダの国営放送のスタッフとして長野冬季五輪で日本がスキージャンプ団体で金メダルを取った瞬間に立ち会った。その後、トロント大で修士号を取得しカナダの警察に就職して北極圏で勤務。金沢の魅力を世界に伝えたいとの思いが高まる中、英美から「旅行会社を立ち上げたい」と相談され、設立メンバーに加わった。

ポールはツアー企画から当日のガイドまでを一手に引き受ける。来年予定しているオーストラリア人の観光客とは「打ち合わせのために3カ月で100時間くらいメールをしているんじゃないかな」と笑う。金沢で10泊するが、市内観光は1日だけ。「自然の中の芸術」をテーマに白山や加賀市など自然が豊富なエリアを回る予定だ。

40年前と現在の金沢を比べて「観光客であふれてしまい、地元の人がシェアできたものが、できなくなっている」との思いもある。兼六園や近江町市場など、単に場所やモノを消費するのではなく、人に焦点を当てることで今までにない魅力を伝えられると感じている。=敬称略

(毛芝雄己)

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