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先輩起業家、学生後押し 筑波大発スタートアップ

筑波大学を舞台にスタートアップ企業を生みだす「人のネットワーク」が広がっている。中心にあるのは先輩起業家と現役学生のつながり。大学が力を入れている起業家教育がふ化器となって、学問だけでは得られない「ビジネスの知」が継承されていく。

事業計画づくりを学ぶ

「資金はどう集めたんですか」。4月、茨城県つくば市のキャンパス。入学した1年生100人あまりが集まる講堂で、フォトシンス(東京・港)の河瀬航大社長(30)は次々と質問を受けた。筑波大が同月に始めた授業「次世代起業家養成講座」のひと幕だ。

大学OBの河瀬社長は14年にフォトシンスを興した。鍵のある扉に取り付けてスマートフォンで開閉すると入退室・勤怠を管理できるスマートロックの企業。世界で初めて後付けを可能にした。先輩の経験をものにしようと学生に力が入る。

経済産業省によると筑波大発スタートアップは18年度に111社あり東京大、京都大に次ぐ。ただ、東京では競合しつつ助け合うスタートアップや助言役のベンチャーキャピタル(VC)が多く、人脈が生まれやすい一方、つくばではそうもいかない。

筑波大は14年、起業の基礎から実践まで学ぶ講座を開き始めた。たとえば「筑波クリエイティブ・キャンプ・アドバンスト」は、事業計画や投資家向け資料のつくり方を教える。そのうえで、VCの担当者を前に事業アイデアをPRする。

LINE社長も参加

講座に協力してきたのが先輩起業家だ。元LINE社長で、女性向け動画サイト運営会社C Channel(チャンネル、東京・港)の森川亮最高経営責任者(CEO、52)はその一人。スマホアプリ分析会社、フラー(千葉県柏市)の渋谷修太CEO(30)も参加し、学生と交流する。

成果は出ている。塚崎浩平氏(24)は4年生だった18年、forent(フォレント、茨城県つくば市)を設立した。遊休地をキャンプ場として貸すサイトを運営し、現在、代表を務める。3年生のとき講座で渋谷氏に会った。ともに高等専門学校からの編入組で「いつも相談できる存在」と塚崎氏は言う。

先輩の言葉は後輩の背中を押す。「面白い構想だ」。森川氏にこう言われ、伊藤俊一郎氏(40)は発奮した。いま、医師と相談できるアプリの開発会社、AGREE(アグリー、同)の社長だ。心臓外科医となった後、大学院生として養成講座を受講した。同社には渋谷氏が社外取締役として助言を送る。

行政や金融機関も起業を支え始めた。大学OBでフラー共同創業者だった高瀬章充氏(31)は18年4月、つくば市が設けたスタートアップ推進担当に就いた。拠点整備などで支援する。筑波銀行は起業家を集める会合を主催している。

大学同士、起業家同士の競争は激しく、競合相手はグローバルに広がる。変革を起こすネットワークづくりに向けた筑波大の取り組みが続く。

(つくば支局長 浅沼直樹、佐藤史佳)

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