霞が関幹部人事「守りの布陣」 財務次官は続投 - 日本経済新聞
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霞が関幹部人事「守りの布陣」 財務次官は続投

中央省庁の幹部人事が2日出そろった。10月に予定する消費税率の引き上げの対応をにらみ、財務省は岡本薫明次官が続投する。金融庁や厚生労働省もトップが留任し、経済産業省は順当な内部昇格で新次官が決まった。7月21日投開票の参院選挙後に政策を安定運営する守りの布陣となった。

「重要政策課題に確実に成果をあげていく観点から最適な人材配置の実現に取り組んできた」。菅義偉官房長官は2日、閣議後の記者会見でこう総括した。

財務省は岡本次官(1983年入省=以下同じ)、同期で「次の次官」と目される太田充主計局長が留任する。財政健全化の本丸となった社会保障改革にどこまで切り込めるかも注目される。昨年の学校法人「森友学園」に絡んだ公文書改ざんなどの不祥事を受け、組織改革も継続する。

日本が初の議長を務めた20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議を仕切った浅川雅嗣財務官(81年)は退任し、武内良樹国際局長(83年)が後任に昇格する。

老後資金が「2000万円不足する」とした報告書を巡る騒動で注目された金融庁人事では、遠藤俊英長官(82年)が続投する。麻生太郎財務・金融相は6月、報告書の表現が不適切として受け取りを拒否し、国会でも与野党の攻防に発展した。幹部の責任論も浮上したが、遠藤氏の安定した行政手腕を重視した。

報告書を担当した三井秀範企画市場局長(83年)は定年退職する。三井氏は「騒動の責任問題とは無関係」(幹部)という。後任は中島淳一総括審議官が就く。工学部出身でフィンテックなどデジタル分野にも明るい。

金融庁は次期長官候補も注目される。金融国際審議官として4年目の氷見野良三氏(83年)が筆頭だ。総合政策局長に就く85年の森田宗男証券取引等監視委員会事務局長や中島氏らが氷見野氏の次の候補として続く。

経済産業省は嶋田隆次官(82年)が退任し、安藤久佳中小企業庁長官(83年)が昇格する。安藤氏は商務情報政策局長時代に東芝の半導体事業の売却問題に対応し、中企庁長官として中小企業の事業承継対策などに取り組んだ。

安藤氏の後は84年組の糟谷敏秀官房長、新原浩朗経済産業政策局長が控える。糟谷氏は安定した調整力が持ち味で、新原氏は安倍政権の成長戦略を取り仕切る。今回は2人とも留任する。

総務省は旧郵政省出身の鈴木茂樹総務審議官(81年)が次官に昇格する。旧郵政出身の桜井俊氏が16年に次官を退任してからは3年続けて旧自治省出身者が次官に就いており、旧郵政出身者の間では鈴木氏の次官待望論が上がっていた。

2020年春の次世代通信規格「5G」の商用化に向けて指揮する。総合通信基盤局の谷脇康彦局長は続投する。

統計不正問題が発覚した厚生労働省は、次官級の宮川晃厚生労働審議官の退任と事務方ナンバー3の定塚由美子官房長を事実上、降格する人事を発表した。いずれも旧労働省出身で、不正調査のあった毎月勤労統計の対応に当たっていた。特別監察委員会の調査で聞き取りに同席して質問していたことが問題になり、責任を取った。

旧厚生省出身の鈴木俊彦次官は留任する。新体制では将来の公的年金の給付水準を示す財政検証に加え、省全体の信頼回復が急務となる。

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