2019年8月18日(日)

世界の金融資産、異例の同時上昇 米中協議再開も支え

2019/7/2 19:42
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【ニューヨーク=後藤達也、伴百江】株式や債券、商品など世界の金融資産がそろって上昇している。今年の上昇率は世界株が21年ぶり、先進国国債や金は3年ぶりと高い。通常は反対に動く資産も含めて同時に高い伸びになるのは異例だ。世界経済への影響が大きい米国が利下げするとの観測が根底にある。米中協議の再開が、同時高の持続を後押ししそうだ。

1日の米国市場では米S&P500種株価指数が最高値を付けた一方、欧州ではドイツやフランスの10年債利回りが低下(価格は上昇)し過去最低となった。米中首脳会談で両国の決裂が回避され、債券も株も買われる流れが続いた。

各資産の主要指数について、1日までの今年の上昇率をみると、世界株は16%と、同期間では1998年以来21年ぶりの上昇率となった。世界の不動産投資信託(REIT)は13%と7年ぶりの水準。原油は30%と3年ぶりの上昇率だ。

一般に株高時には安全資産とされる国債は売られやすい。社債のように利回りのある資産が買われるときには、金利のない金は価格が下がる。こうした経験則が成り立たなくなっている。

原因は米国の利下げ観測にある。世界の投資家が運用の軸に置く米国債の利回りが低下し、潤沢なマネーが様々な資産へ拡散している。

基軸通貨のドルが値下がりするとの観測も影響が大きい。ドル建てで取引される金や原油など商品の価格は、ドルが下がった分値上がりする傾向がある。新興国への資金流入ももたらし、国際金融協会(IIF)によると、今年は6月末までに新興国の株式と債券に合計1800億ドル(20兆円)の資金が流入した。ドルが下がればドル建て債務の多い新興国に追い風になるためだ。

同時高に近い現象は12年にも起きた。ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁が7月に「何でもやる」と発言し、米連邦準備理事会(FRB)は9月に量的緩和の第3弾を始めた。世界的な緩和期待の高まりは現在と似る。

当時は13年5月にバーナンキ元FRB議長が緩和縮小に言及し、債券が急落した。新興国からも資金が流出し、同時高が終わった。

同時高には、景気後退をFRBが予防的な利下げで止めてくれるとの期待がある。減速にとどまる景気と、緩和の微妙なバランスで生まれている。景気が後退したり、景気が思いのほか堅調で市場の期待ほど緩和しなかったりすると波乱を招きかねない。

慎重姿勢を強める投資家は多い。米ヘッジファンド、ソルスティン・キャピタルは「株式では公益企業やヘルスケアなどディフェンシブ銘柄に絞っている」(ナディン・ターマン最高経営責任者)という。

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