2019年8月18日(日)

2台つなぐ連節バス 日野・いすゞ、技術結び国産初

日経産業新聞
2019/7/3 4:30
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NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞

いすゞ自動車日野自動車は国内で初めて連節バスを共同開発した。大型バスの約1.5倍の120人が乗車できる。ドライバー不足の解消にもつながり、鉄道・バスなどの公共交通インフラの維持が難しい地方での導入をにらむ。2020年の東京五輪を迎えるなかで、大型イベントなどでの大量輸送力は大きな魅力だ。ハイブリッド仕様の「日の丸」バスとして活躍が期待される。

■国産は今回が初めて

大型バスの全長は11メートルだが、2つの車両をつないだ連節バスは約18メートル。連節部分は蛇腹状になっており、カーブでもスムーズに曲がれる設計になっている。これまで連節バスは独ダイムラーをはじめ海外製を輸入しており、国産は今回が初めてになる。

両社は2004年にバス事業を統合した。路線、観光バスを製造してきたが、「ドライバーの高齢化や人手不足への解のひとつ」(いすゞのバス商品企画・設計部の鈴木隆史チーフエンジニア)と連節バス開発に着手した。

主にはいすゞが車体を、日野がエンジンやハイブリット技術を手掛け、それぞれ強みとするパーツを受け持った。

■数センチ単位で微調整

連節バスは長さゆえに幅をとらずスムーズに曲がれるかが重要となる。既に連節バスを導入している事業者にヒアリングし、「営業で曲がりにくい場所を教えてもらい、実際に走らせるなど実験しながら開発をした」(鈴木氏)。小回りが利くよう、数センチメートル単位の微調整を試みた。

ハイブリッドシステムは通常バスに搭載しているシステムと基本的に変わらないが、車体の重さが異なる。「通常のバスより約1.8倍重いなかで、従来のハイブリッドシステムで効果を出すため、動力や空調性能をバランスがとれるよう制御した」(日野自動車車両企画部の山口誠一チーフエンジニア)。ディーゼルエンジンと電気モーターを組み合わせ、モーターのみによる発進もでき、省燃費で環境にも優しい。

■安全性も磨く

輸送能力に加えて、安全性にもこだわった。ドライバーの体調の急変を想定し、運転席内部や車内など数カ所に非常ブレーキボタンを設置。ボタンを押せば、警報音とライトで知らせて約3秒で停止する。「立っている乗客もいるため、急ブレーキで転倒しないよう猶予を持たせた」(鈴木氏)

バス停付近の道路に誘導線を設ければ車両前方のカメラが認識し、自動でハンドル操作やブレーキをかけ停止位置まで誘導する機能も搭載。また、車体前方にあるミリ波レーダーが障害物を感知し衝突の可能性が高くなると警報で注意を促し、衝突事故の低減にもつなげる。

価格は9000万円強と一般的な大型バスより割高。輸送効率、ドライバー不足の解消、燃費性能の高さ……。国内にとどまらず、海外市場をにらんでも輸送手段としての潜在能力は高い。

■五輪にらみ「連節バス元年」に

日本をこれまで走る連節バスは、独ダイムラー、スウェーデンのスカニア製の車両などを輸入してきた。ここにきて国産初の連節バスの導入に対しては、公共交通が抱える悩みの解消に向けた期待が込められる。

トラックでも問題視されるように、バスでもドライバー不足や高齢化が深刻になっている。加えて、地方では鉄道はじめ不採算路線は存続が危ぶまれて、生活を支える足としてBRT(バス高速輸送システム)が議論の的となる。コストや人手をかけず、大量の人や貨物を効率輸送するニーズは高まる。

日本のバス市場は縮小してきた。国内販売は2003年に2万1200台あったが、11年に1万台程度まで落ち込んだ。足元はインバウンド景気もあり観光バスの需要が増えて、息を吹き返す。東京五輪をはじめイベントが続き、受注は底堅く推移するとの見方が強い。

新型車は東京五輪をみすえてデビューする見通しで、輸送能力が評価される「連節バス元年」となる。補修品や整備などアフターメンテナンスがそろい、自治体や運行事業者も採用に動きやすくなった。五輪をきっかけとする「連節バス元年」は、バス市場を活性化に導く可能性を秘める。

(企業報道部 岡田江美)

[日経産業新聞 2019年6月25日付]

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