日韓対立、袋小路に 元徴用工訴訟で対応迫る
日本政府、関係悪化理由に輸出規制

2019/7/2 0:02
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政府が1日発表した韓国への半導体材料の輸出規制は元徴用工訴訟で対応策を示さない韓国政府への事実上の対抗措置になる。韓国最高裁が日本製鉄(当時は新日鉄住金)に賠償命令を下した昨年10月以降、日韓関係は悪化の一途をたどる。両国間には他にも従軍慰安婦問題など多くの懸案が重なり、対立の出口はみえない。

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日本政府は今回の措置について、韓国との関係悪化を理由にあげる。西村康稔官房副長官は1日の記者会見で「韓国との信頼関係のもと、輸出管理に取り組むことが困難になった」と述べた。6月にも韓国からのヒラメなど輸入水産物の検疫を強化した。関係改善に取り組まなければ経済に実害が及ぶと示し、対応を迫る狙いがある。

韓国最高裁は既に3つの訴訟で日本企業に対する元徴用工らへの賠償命令を下している。日本政府は1965年の日韓請求権協定で賠償は解決済みとの立場で、今年1月から協定に基づく協議を求めてきた。韓国側が応じず、7月18日を期限に第三国を交えた仲裁委員会の設置を要請中だ。

韓国政府は日韓両国の企業が自発的に資金を出し原告と和解する案を示したが、日本政府は拒否した。戦後処理の問題で韓国に対してだけ特別な対応をとれば「あしき前例になる」(外務省幹部)との見方があるためだ。

首脳間の対話もとぎれ気味だ。安倍晋三首相は20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)にあわせて韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が求めた首脳会談に応じず、議長として出迎えたときの握手だけだった。

6月に岩屋毅防衛相が鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防相と非公式に会談した際には自民党内から批判が上がった。1日に政府が発表した「ホワイト国」の指定削除などは党外交部会でもやるべきだとの意見が出ていた。

韓国の原告団による日本企業の保有資産の売却は当初想定された夏以降からずれ込みそうだ。早くても年末から2020年1月ごろになるという。日本外務省は企業が実害を被るまで対抗措置をとらず、韓国政府の対応を待つ考えだった。

両国の課題は山積している。日韓が従軍慰安婦問題で「最終的かつ不可逆的な解決」をうたった15年12月の合意に基づき設立した財団は解散が決まった。18年12月には韓国海軍が自衛隊機に火器管制レーダーを照射する事件も発生し、双方の主張は対立したままだ。

韓国が東日本大震災後に実施する水産物の輸入規制でも両国の対立は続いている。日本は世界貿易機関(WTO)で4月に敗訴した後も食品の安全性は認められたとして韓国に規制解除を求めているが、韓国は話し合いに応じていない。

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