2019年8月18日(日)

狙われる集合ポスト 不在票盗み出し、クレカ不正入手

2019/7/1 18:14
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クレジットカードを届ける簡易書留郵便の不在票をマンションの集合ポストから盗み、住人になりすまして郵便局でカードを不正に受け取る事件が東京都内を中心に増えている。警視庁による犯行グループへの捜査では、偽造した運転免許証や保険証を使って郵便局の窓口職員を欺く巧妙な手口も判明した。同庁は「被害に気づきにくい犯罪」として警戒している。

「え、受け取り済み?」。東京都世田谷区のマンションに住む30代女性は、郵便物の配送状況を確認するサイトを見て目を疑った。

契約したクレジットカードが届かず、調べてみると、信販会社は約1週間前に女性宛ての簡易書留で発送していた。配達時には自宅に女性も家族もおらず、郵便局は配達員が不在票をポストに入れたと説明。だが不在票は見当たらず、何者かが郵便局に持参してカードを受け取っていた。

カードの利用状況を確認すると、家電量販店や旅行サイトで約50万円分の買い物に使われていた。郵便局の防犯カメラには女性宛ての不在票を持った見知らぬ男が映っていた。女性は今春、不在票を盗まれたとして警視庁に被害届を提出した。

新規契約や更新で信販会社がクレジットカードを発送する際、郵便の簡易書留が使われるケースが多い。配達時に留守だった場合、不在票と免許証や保険証などの身分証明書があれば、郵便局の窓口で受け取ることができる。日本郵便の担当者は「不在票と身分証がそろっていれば、別人と疑うのは難しい」と漏らす。

同様の被害は最近、世田谷区や目黒区といった住宅街のマンションで頻発している。警視庁は2018年11月から今年4月にかけて、犯行グループのメンバーとみられる計9人を逮捕。オートロックのマンションに侵入し、集合ポストのダイヤルロックを何らかの方法で解除。盗んだ不在票の名義で免許証などを偽造し、不正入手を繰り返す複雑な手口が明らかになった。

捜査関係者によると、カードで購入した商品を転売して現金を得たとみられ、グループによる被害額は少なくとも2千万円に上る。顔写真付きの免許証を精巧に偽造する技術があり、捜査幹部は「組織的な集団が新たな収益源として犯行に乗り出した疑いがある」と話す。

被害を受け、一部の郵便局は本人確認を厳格化。18年末から不在票の宛名を片仮名で記し、窓口では漢字で自書してもらう対策を始めた。信販会社も複数の被害を把握し「名義人が損失を被らないよう相談に応じる」(大手担当者)という。

カードの契約者が不正に気づかなければ、被害は拡大する。警視庁幹部は「カードが届かず、おかしいと思ったらすぐに信販会社に相談し、警察にも通報してほしい」と呼びかけている。

■ポストの盗難、施錠や防犯カメラで自衛を
 不在票でクレジットカードをだまし取られる事案に限らず、集合ポストから郵便物を盗まれる被害は少なくない。個人情報を悪用される危険もあり、ポストの施錠や防犯カメラの設置といった自衛策が重要だ。
綜合警備保障(ALSOK)の担当者によると、マンションではダイヤルキーなどが付いている集合ポストが多いが、施錠していないケースもみられる。担当者は「オートロック内に侵入されるリスクも想定して、油断せず施錠する習慣をつけてほしい」と指摘する。
 集合ポスト周辺がしっかり映る場所に、管理組合などが防犯カメラを設置する対策も一定の抑止効果があるという。郵便物がたまっているとターゲットになりやすい。担当者は「郵便物をこまめに取り出し、ポストを空にしておくことが大事」と話した。

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