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タイから長旅 「先輩」が歓迎(古今東西万博考)

1970年・神戸 ゾウ16頭 市街地行進

16頭のゾウが、車道をのっしのっしと進んでいく。大阪万博が終盤に迫った1970年8月、タイの文化を紹介する「ナショナルデー」に出演するゾウが船で神戸港に到着。阪神間の市街地約40キロメートルを壮観に行進し、大阪府吹田市の万博会場を目指した。貴重な光景を目に焼き付けようと、沿道には老若男女がこぞって集まったという。

見物客が車道を歩くゾウを見守る(1970年8月)=王子動物園元飼育員の福田元二さん提供

当時はゾウを運ぶための大型車を手配できなかったため、ゾウ使いの下、万博の会場まで歩くことになった。神戸港に上陸後、神戸市中心部の三宮周辺のフラワーロードを通り、神戸市立王子動物園の近くを通過していったという。

「パオーン、パオーンと飼育中の2頭が反応したんです。行進は知らないはずなのに」。花木久実子副園長は動物園に伝わる当時の様子を教えてくれた。鳴いたのはアジアゾウの「諏訪子」と「太郎」だった。ゾウは人間には聞こえない低周波音でコミュニケーションをとっているといわれている。「後輩」の来日に喜んだのだろうか。

王子動物園の元飼育員の福田元二さん(86)が撮影した写真が残る。一般車が行き交う車道で大きな体を揺さぶりながら進むゾウ。よく見ると、車道にふんがいくつか落ちている。花木さんは「タイからの長旅でも健康なふんが出ていますね」と笑う。

万博会場に着くと「象まつり」に参加。盛装した象たちが優雅な戦いぶりを披露するなど会場を盛り上げた。会場では赤ちゃんも生まれた。ゾウの寿命は60年前後とされる。タイに戻ったとされるあの子ゾウは、今でもパオーンと鳴いているだろうか。(沖永翔也)

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