サニブラウン、着実な成長を証明した4日間
陸上日本選手権
男子200メートルのスタート直前、サニブラウンの表情はいつもと違ってみえた。「体力的にきつかった。集中しなきゃいけないと思って」。今大会は例年より1日多い4日間開催だったが、連戦の疲れは隠せなかった。

雨が降り、向かい風1.3メートルという悪条件。それでも、トップは誰にも譲らなかった。スムーズに飛び出し、外側の小池を捉える。カーブでややふくれたものの、コーナーを抜けて先頭に立つと、腕を振って力強く進みゴールを駆け抜けた。「後半は間延びした。これが通用しないところ」と振り返ったが、後続の粘りを振り切る強さは群を抜いていた。
米国で磨いてきた走りを久々の日本で存分に見せた4日間だった。がむしゃらに「ただ走っているだけ」の2年前と比べて、「頭を使いながらラウンドをこなせた」。独自の道を歩み、着実に成長していることを証明する機会にもなった。
2年ぶりの2冠について感慨はそれほどないらしい。「2017年の自分ができたことなんで、もっと強くなって帰ってきた自分ができないわけがない」。常に世界の頂点を見据えているチャレンジャー精神こそ、強さの源だろう。
世界選手権に向けては「万全の状態で臨みたい。表彰台に到達するには過酷な道のりだが、そこまでねじ込めれば」と語った。20歳のスプリンターにはまだまだ伸びしろがある。(渡辺岳史)