2019年7月22日(月)

一枚上手の相撲論(浅香山博之)

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再び休場の貴景勝、今を無駄に過ごすな

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2019/7/5 6:30
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大相撲名古屋場所は7日、ドルフィンズアリーナで初日を迎える。先場所、右膝を痛めて途中休場した大関貴景勝は回復が間に合わず、かど番の今場所も初日から休場という決断になった。まずは何よりもけがをしっかり治すことが大事。そしてこの先のためにも、今という時間を無駄にしないでほしい。

大関としては異例の再出場、再休場という先場所の判断については批判する声も多かった。けがをした翌日はともかく、再休場で2度目の不戦敗となったことで、また一つ取組がなくなってしまった。そうなると貴景勝個人の問題ではなくなってくる。不戦勝となった栃ノ心の相撲を見るためにチケットを買ったファンのことを考えれば、もう少し冷静な判断をすべきだった。

先場所、再出場の一番で貴景勝(右)は碧山にはたき込みで敗れた=共同

先場所、再出場の一番で貴景勝(右)は碧山にはたき込みで敗れた=共同

押し相撲だから前に出る取り口を徹底すればいけるという思いもあったのかもしれない。そうであれば、まず稽古場で自分がどれだけ動けるのかを確かめなければいけない。部屋には元気な関取もいるのだから、彼らとがんがん稽古ができる状態であれば出てくればいい。稽古もできない状態では勝てないし、けがも悪化する恐れがある。横綱だろうと大関だろうと、相撲が取れないのなら休むのは仕方ないことだ。

休んでいる間に体は作り直せる

私も現役時代、腕や腰、脚などの度重なるけがで何度も休場を経験した。本来なら相撲を取っているはずの夕方の時間帯、そこに自分がいない。俺は何をやっているんだろうとイライラが募り、テレビで相撲をみるのも嫌だった。次の場所は大丈夫だろうか、けがは治るだろうかと、いろんなことが頭をよぎり、不安にもなる。

そんなときは、余計なことを考える暇をつくらないほどリハビリや治療に精を出した。けがをすると必ず弱くなるというわけではなく、休んでいる間に体をつくり直すこともできる。実は、2000年夏場所で私が初めて手にした幕内優勝も、膝のけがが転機だった。2月に初めて痛めた右膝の状態が回復せず、春場所は8勝止まり。これではいけないと巡業を休ませてもらい、夏場所の番付発表後までジムでリハビリをすることになった。

それまでは器具を使ったトレーニングなど全くやっていなかったので、力は強いはずなのにろくにバーベルが上げられなかった。左右のバランスが悪く、相撲のスタミナとは全然違うので回数もこなせない。ぼろくそに言ってくるトレーナーに腹が立って言い合いになりながらも、実際にできない自分がそこにいる。何を言っても言い訳にしかならないと気づいた。だったら言われないくらいにやってやろうと、そこから1カ月間、人付き合いも一切絶って、1日も休まず体を鍛えていった。

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