2019年8月21日(水)

EUと南米4カ国、FTA交渉で政治合意

2019/6/29 6:45
保存
共有
印刷
その他

【サンパウロ=外山尚之】欧州連合(EU)は28日、ブラジルやアルゼンチンなど南米4カ国が加盟する関税同盟、南米南部共同市場(メルコスル)と自由貿易協定(FTA)交渉で政治合意したと発表した。米国発の貿易戦争で保護主義的な通商政策が広がる中、自由貿易網の拡大を急ぐEUと南米側の思惑が一致した。

ブラジルのボルソナロ大統領(左)とアルゼンチンのマクリ大統領はEUとのFTAを推進していた(6日、ブエノスアイレス)

ブリュッセルで開いた外相級会議で合意に達した。EUのユンケル欧州委員長は声明で「国際的に貿易の緊張が高まる中、我々はルールに基づく貿易に賛成するという強いサインを送った」と表明した。ブラジルのボルソナロ大統領はツイッターに「これまでで最も重要な貿易合意の1つであり、我々の経済に大きな利益をもたらす」と投稿した。

EUからメルコスルへのモノの輸出は年間450億ユーロ(約5兆5170億円)、メルコスルからEUは同426億ユーロにのぼる。EUは今回の合意により、関税の撤廃や軽減でEU企業が40億ユーロ分の競争力を得られると試算する。特に南米側が最大35%の関税をかけている自動車や機械(14~20%)、化学製品(18%以上)などの輸出増加が見込めるという。

メルコスルの発表資料によると、FTA発効後、EUはメルコスルの輸出に対し93%の関税を撤廃するほか、99%の農畜産物の輸入を自由化するとしている。メルコスル側は重要品目については今後15年かけ、徐々に関税を減らしていくという。

両者の交渉は2000年に開始したが、03年にブラジルとアルゼンチンで保護主義を掲げる左派政権が誕生し、中断していた。しかし、15年にアルゼンチン、16年にブラジルでそれぞれ左派政権からの政権交代が発生。資源価格の低迷で経済が低迷する中、両国とも自由貿易推進に通商政策を転換したことで交渉が再開した。

今回の合意は温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」の履行に向けても大きな意味を持つ。合意書では、食の安全や消費者保護と並び、パリ協定の順守が盛り込まれた。1月に就任したブラジルのボルソナロ大統領はかつてトランプ米大統領に倣い、同協定からの離脱を示唆したこともあり、フランスのマクロン大統領やドイツのメルケル首相が懸念を表明していた。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報

新しい日経電子版のお知らせ

より使いやすく、よりビジュアルに!日経電子版はデザインやページ構成を全面的に見直します。まず新たなトップページをご覧いただけます。

※もとの電子版にもすぐ戻れます。