中国5県の路線価、2年連続上昇 広島・岡山けん引

2019/7/1 11:05
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中国地方の地価が上昇している。広島国税局が1日発表した2019年の路線価(1月1日時点)によると、標準宅地の前年比変動率の平均は0.7%の上昇となった。上昇は2年連続。再開発に沸く広島県や岡山県が伸びたほか、山陰でも下落幅が改善した。一方、人口減が課題となっている内陸部では下落が目立った。都市部との二極化はさらに進行しそうだ。

再開発やホテルの建設増加が上昇の追い風に(岡山県の最高路線価地点の岡山高島屋前)

再開発やホテルの建設増加が上昇の追い風に(岡山県の最高路線価地点の岡山高島屋前)

路線価は主要道路に面した土地の評価額で、相続税や贈与税を算定する基準となる。5県全体の継続地点に占める上昇地点の割合は31.8%と前年から1.4ポイント増えた。広島県と岡山県の県平均の上昇率はいずれも前年より拡大した。

広島県では2.0%上昇と4年連続プラスとなった。JR広島駅北口にある「二葉の里地区」の再開発などを追い風に、北口一帯での路線価は6~11%程上昇した。

駅の南口でも広島市とJR西日本などが駅ビル建て替えを含む周辺一帯の再整備を進め、25年春に新しい駅ビルを開業する予定だ。日本郵便も広島東郵便局を建て替え、地上20階建てのオフィスビルを22年秋の開業を目指して建設する。商業施設やオフィスビルの整備で、南口一帯での地価上昇も加速しそうだ。

市中心部では紙屋町・八丁堀地区が18年10月に国から「都市再生緊急整備地域」に指定されたことも追い風となっている。土地の利用制限の規制緩和や、税制上の優遇などが受けられることから、「広島アンデルセン」の旗艦店や広島銀行の新本店など建て替え工事が相次いでいる。

岡山県では0.2%上昇と2年連続プラスとなった。最高路線価地点はJR岡山駅に面する岡山高島屋前の市役所筋(東側)で、1平方メートル当たりの価格は137万円。前年比で8.7%上昇と、前年の上昇幅(6.8%)を上回った。再開発などに伴う活発な取引により、岡山市と倉敷市中心部での伸びが全体をけん引した。

不動産鑑定士の林陽一郎氏は、従来の再開発の動きに加えて「インバウンド(訪日外国人)需要によるビジネスホテルの建設増が加わり、上昇の勢いが中心部の周辺にも波及してきた」と分析する。

松江市の最高路線価である駅前通りでは5年連続で横ばい。駅前でホテル開業が相次いでおり、島根県の標準宅地の平均価格の下落幅は縮小した。17年8月に「スーパーホテル島根・松江駅前」が開業。20年の東京五輪で全国的にインバウンドが増加することを見据え、アパホテルも島根県内への進出を検討しているようだ。

山口県は0.1%下落と、下落率が0.4ポイント縮小。最高路線価はJR下関駅東口駅前広場に面した下関市竹崎町4丁目で、4年連続の横ばい。不動産鑑定士の稲田豊氏は「商業地の下落は続くが、県内の住宅地の下落には歯止めがかかった」と指摘する。

 人口減で郊外で下落

 人が集まる都市部での地価上昇が進む一方で、人口減少が見込まれる地域では頭打ちが続いている。鳥取市は47都道府県の県庁所在地の最高路線価で唯一、下落となった。鳥取県の標準宅地の前年比変動率は0.4%の下落。下落幅は改善したものの、マイナスとなるのは1995年から25年連続だ。

国立社会保障・人口問題研究所が推計する2020年の鳥取市の人口は、15年の実績値と比べて2.2%の減少を見込む。不動産鑑定士の村上保雄氏は「鳥取駅前は権利関係が小規模なものが多いため、新規開発が見込めない」と分析する。

西日本豪雨の影響ものしかかる。豪雨で大きな浸水被害が出た岡山県倉敷市真備町地区の標準宅地の前年比変動率に関して、全域平均で14.7%下落した。不動産鑑定士の林陽一郎氏は「河川の改修などが進んでいるが、まだ安心感が醸成されておらず取引は低調なままだ」と話した。

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