大阪キタ、オフィス需要で勢い回復 ミナミと価格差拡大

2019/7/1 11:00
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1日公表された2019年分の路線価で、大阪・キタの勢いが回復している様子が鮮明になった。背景にあるのは旺盛なオフィス需要だ。供給が追いつかず、逼迫感が地価の上昇につながっている。インバウンド(訪日外国人)でにぎわう大阪・ミナミも引き続き投資が活発だが、昨年は縮まったキタとミナミとの価格差が今年は拡大した。

6月3日、御堂筋の曽根崎新地近くにあるオフィスビル「御堂筋フロントタワー」。シェアオフィス世界大手、米WeWork(ウィーワーク)が20階建てビルを1棟丸ごと借り「WeWork御堂筋フロンティア」として開業した。

コワーキングスペースなど座席数は2900席程度と、同社のオフィスでは日本最大級で「すでに3割以上は埋まり始めている」(日本のセールス担当者)。大阪では難波に続く拠点で、東京の大手企業などからもサテライトオフィスの問い合わせが来ているという。

不動産鑑定士の真里谷和美氏は「昨年後半以降、全般に過熱感が出ているが、特に大阪市内中心部でオフィス賃料が急激に上がっている。今まで弱かった中心のオフィス街の地価が急激に上がってきている」と指摘する。JR大阪駅北側の「グランフロント大阪南館」前も上昇率が昨年の10.1%から26.8%になり、再び上昇しそうな傾向が出てきているという。

三鬼商事大阪支店によると、大阪ビジネス地区の5月のオフィスビルの平均空室率は2.45%。特に梅田地区は1.67%と最も低い。同支店の小畑大太氏は「オフィスの新規の大型供給は、大阪梅田ツインタワーズ・サウスなど22年ごろまで待たなければならず、当面は在庫が増える要因があまりない」としており、オフィスの逼迫は続く見通しだ。

大阪市中心部のオフィスの本格的な供給は2022年ごろからになる見通し(大阪市中央区本町で21年10月完成予定のビル予定地)

大阪市中心部のオフィスの本格的な供給は2022年ごろからになる見通し(大阪市中央区本町で21年10月完成予定のビル予定地)

商業などでもキタへの投資の動きが出ている。米不動産ファンド大手、アンジェロ・ゴードンがJR大阪駅前の商業施設「E-ma(イーマ)」に投資する計画。シンガポールのホテル・不動産管理会社、ホテルプロパティーズが東京建物と組み、大阪・堂島でホテルを核とする再開発の計画を打ち出している。

近畿2府4県の税務署別最高路線価で36年連続のトップを守ったのは「阪急うめだ本店」前。1平方メートルあたり1600万円で前年比上昇率も27.4%と6位だった。2位は大阪・ミナミの「戎橋ビル」前で1488万円(前年比上昇率25.7%)。昨年縮まったキタとミナミの価格差は拡大した。

とはいえミナミでも投資は活発だ。住友商事は4月、戎橋北詰の商業ビル「クリサス心斎橋」を米投資ファンドから取得、「住友商事心斎橋ビル」としてオープンした。取得額は約208億円とみられ、「今後テナントの入れ替えなどを通じ、価値を高めたい」(住商)としている。同ビルは「戎橋ビル」前の向かい側に立地しており、「今後のミナミの地価動向に大きく影響してくる可能性がある」(不動産業界関係者)。

不動産サービス大手、ジョーンズラングラサール(JLL)が19年に商業用不動産投資で成長の勢いのある都市ランキングを初めてまとめたところ、世界131都市中、大阪市がトップになった。JLL関西支社の秋山祐子氏は「割高な東京圏に比べ、大阪はまだ投資余地が大きい。堅調に推移している商業、オフィス需要に続き、今年はマンションなど住宅の投資動向が注目される」と予測する。

 インバウンド・再開発、路線価けん引

 近畿では52の税務署管内で最高路線価が上昇した。インバウンド(訪日外国人)の増加や再開発の影響を受ける地域で伸びが目立つ。

京阪電鉄祇園四条駅周辺(京都市東山区)では前年比43.5%上昇。税務署単位の上昇率が2年連続で近畿で最大となった。八坂神社から延びる参道は出店希望の多さに比べて土地の供給は限定的で、賃料が上昇しやすい。近鉄奈良駅の駅ビル前(奈良市)は前年比11.9%上昇。奈良公園や社寺へ向かう訪日客らが集中するエリアで、2桁の伸びは27年ぶりだ。

三宮センター街(神戸市中央区)は25.0%上昇。2年連続で20%台を超えた。市は三宮周辺の再開発を進めており阪急電鉄の新駅ビルは2021年に完成する予定だ。

一方、滋賀県で一番高かったJR草津駅東口広場(草津市)は京阪神への交通の便が良いものの、3.6%の上昇にとどまった。和歌山県で最高のJR和歌山駅前(和歌山市)は前年比で横ばいだった。

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