19年の埼玉県内最高路線価、下落地点4年ぶりゼロ

2019/7/1 11:00
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関東信越国税局が1日発表した埼玉県内の2019年分の路線価(1月1日時点)は18年に比べて平均1.0%上昇した。プラスは6年連続で、上昇率も18年(0.7%)より拡大した。税務署別の最高路線価は上昇地点が増え、下落が続いていた秩父市の最高地点が下げ止まった。下落地点は4年ぶりにゼロになった。

大宮駅周辺ではホテル建設の需要が高まっている(秋に開業予定のカンデオホテルズ大宮、さいたま市)

大宮駅西口駅前は管内で28年連続の最高地点となった(さいたま市)

県内の調査対象地点は15税務署管内の計約1万6000地点。税務署別の最高路線価は上昇が18年分より2地点多い10地点、横ばいが5地点、下落地点はゼロだった。同局管内の茨城県や栃木県などの他県の平均変動率は下落したが、埼玉県のみプラスだった。

上昇に転じた14年以来、最もプラス幅が大きかった。不動産鑑定士の島田喜久男氏は「県南地域を中心に都心への通勤が可能なエリアがけん引している」と分析する。

県内の税務署ごとに最高路線価をみると、さいたま市大宮区の「大宮駅西口駅前ロータリー」の上昇率が12.1%で最も高い。18年の10.4%よりもさらに拡大し、7年連続で上昇した。

東北や北陸など新幹線6路線が通る大宮駅は乗降客数が増加傾向。駅周辺ではオフィスの需要が逼迫し、賃料が上昇しているという。日本不動産研究所関東支社の斉木正人支社長は「ホテルの開発計画が複数ある。宿泊施設の開発需要が高まっている」のも上昇要因とみる。

さいたま市浦和区の「浦和駅西口駅前ロータリー」の上昇率も10.5%と、前年(7.0%)より拡大した。マンション開発やビルの建て替えが相次ぎ、18年3月には西口ビルに商業施設「アトレ浦和ウエストエリア」が開業した。人口増に伴って商業店舗の需要も依然として高い。

住宅地としての人気の高まりも、地価の押し上げ要因とみられる。さいたま市は人口流入が続き、民間調査の「住みたい街ランキング2019関東版」で、横浜や都内に続いて大宮が4位、浦和が8位に食いこんだ。斉木支社長は「大宮では業務需要だけでなく、住宅地としても見直されている。都心への通勤に加え『地元に帰りやすい』と新幹線による各方面への利便性を魅力に感じる人も増えている」とみる。

22年度に再開発ビルの完成を控える川口市の「駅前産業道路」も上昇が続く。上昇に転じたのは上尾市と熊谷市。上尾市の「上尾駅西口駅前ロータリー」は2.6%のプラス。賃貸需要が堅調に推移し、5年ぶりに上昇した。熊谷市の「熊谷駅前広場」は商業エリアの客足が回復傾向だという。新規の店舗出店やホテル建設の計画もあり、2.0%上昇した。

秩父市の「主要地方道秩父上名栗線」は4年ぶりの横ばい。商業地域だが、郊外の大型ショッピングセンターの進出で苦戦を強いられていた。西武秩父駅直結の複合温泉施設の開業効果などで観光客は増えているものの、秩父地域は依然として人口減少が続いている。島田氏は「地価が持ち直したというよりも、下げ止まった」とみる。

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