米民主党討論会 「反トランプ」鮮明に
バイデン氏も標的に

2019/6/28 18:00
保存
共有
印刷
その他

【マイアミ(米南部フロリダ州)=中村亮】2020年11月の米大統領選に向け野党・民主党が26~27日に開いた討論会では、候補者がトランプ大統領への対抗姿勢を鮮明にした。トランプ政権下で経済格差が広がり、政権が軽視する地球温暖化こそが安全保障上の脅威との意見が相次いだ。世論調査で首位を走るバイデン前副大統領も標的となり、リベラル派が人種を巡る発言などで突き上げた。

討論会にのぞむ米民主党大統領候補者ら(27日、米南部フロリダ州マイアミ)=AP

「トランプ氏はウォールストリートが米国を支えていると思い込んでいる」。バイデン氏はトランプ氏が実現した大型減税の恩恵が富裕層に偏っていると批判した。左派のウォーレン上院議員も「経済成長の恩恵は大企業や富裕層に偏っている」と主張した。

代わりに相次いだのが「大きな政府」を目指す構想だ。リベラル派のサンダース、ハリス両上院議員は国民皆保険の導入を訴えた。最低賃金上げや公立大学の無償化を求める声が目立った。

もう一つの論点が環境政策だ。ハリス氏はトランプ氏が離脱を決めた温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」について大統領就任初日に復帰を決めると公約した。オルーク前下院議員は温暖化対策に今後10年間で5兆ドルを投じるとぶち上げた。

トランプ氏の不法移民対策にも批判が相次いだ。ブッカー上院議員はトランプ政権が廃止するとしている、幼少期に親と一緒に不法入国した若者の米国滞在を認める制度「DACA」の維持を訴えた。

「反トランプ」の軸に浮上した政策は民主党支持者の意向を反映する。米ピュー・リサーチ・センターの世論調査によると、民主党支持者のうち81%が環境政策が最も重要な政策だと訴えた。社会保障負担の軽減も72%、貧困対策も68%と高水準だった。

一方でトランプ氏は28日、大阪での20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の夕食会を前にツイッターで討論会に言及した。「『寝ぼけたジョー(・バイデン)』や『狂ったバーニー(・サンダース)』には良い一日ではなかったようだ」と書き込んだ。「私はG20でしっかりと米国を代表している」と主張し、大統領にふさわしいのは自分だと強調した。来年の米大統領選を意識し、民主党の候補者選びに神経質になっている様子をうかがわせた。

討論会ではバイデン氏が他の候補の標的となる場面もあった。バイデン氏が超党派の政治を実現するために、人種差別主義者とも協力してきたなどと過去に発言したことにハリス氏が「私の心はとても痛んだ」と批判した。バイデン氏は「私は人種差別主義者ではない」と反論したものの、劣勢が目立った。

バイデン氏は中道派を標榜してきたが、左派への目配りを強いられている。討論会前には人工妊娠中絶の支援に連邦政府の資金を使うことを禁じる制度に従来の方針を覆して反対した。全米で中絶を制限する動きがあり左派の危機感が高まっているなか、女性の権利に寛容な立場を示さざるを得なくなった。

米調査会社モーニング・コンサルトによると、バイデン氏の支持率は65歳以上が51%なのに対し、18~29歳は21%にとどまる。若者はリベラルな政策を好む傾向があり、中道派のバイデン氏の姿勢は支持層を拡大させるうえで足かせとなっている可能性がある。

民主党は今後もほぼ毎月、テレビ討論会を開いて政策論争を深めていく。候補者を絞る作業は来年2月のアイオワ州の党員集会から始まる。長丁場の選挙戦でトランプ氏に対抗できる有力者が浮上するか関心が集まる。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]